【NASAが重大発表】「太陽の活動が“極大期”に」今後1年は要注意だ 「磁気嵐」で日本でオーロラ発生、通信障害も?「複雑な仕組み」を東大宇宙博士がわかりやすく解説
中には、光の速度の30%にも及ぶ猛スピードの粒子もあります。人間がこうした粒子を浴びてしまうと、細胞やDNAが傷つけられ、被曝します。 このような粒子を専門用語で「太陽高エネルギー粒子」といいます。高エネルギーの陽子が増大する現象は「プロトン現象」といいます。 地上で暮らす私たちは、地球の大気と磁場がバリアとして守ってくれるおかげで、太陽高エネルギー粒子による被曝の心配はありません。 危険にさらされるのが、地球の大気に守られていない宇宙飛行士です。高度400キロの国際宇宙ステーションでは、大きな太陽フレアが発生すると、すぐに連絡があり、宇宙飛行士たちは壁の厚い部屋へ移動します。
将来、月面で人が暮らすようになると、死亡事故につながることもありえます。月には大気も磁場もないため、フレアが発生した場合、保護力の高い基地のなかへ避難する必要があります。 また、太陽高エネルギー粒子は、人工衛星のコンピュータに誤作動を起こしたり、太陽電池パネルを劣化させたりします。人体だけでなく、人工衛星にもダメージを与えるのです。 【3】ガス→磁気嵐、オーロラ、停電、衛星墜落 太陽フレアにともなって、電気を帯びた大量のガス(プラズマ)が太陽から切り離され、外に向かって投げ出されることがあります。専門用語で「コロナガス放出」や「コロナ質量放出」といいます。
■日本でも「オーロラ観測」のチャンス 大量のガスが地球に向かって放出されると、約2日後に地球に到達します。太陽からのガスは地球の磁場(地磁気)とぶつかります。このとき、地球周辺の環境ががらりと変わり、地磁気が大きくかき乱されます。 専門用語で地磁気の乱れは「地磁気擾乱(じょうらん)」といい、その中で規模の大きなものを「磁気嵐」といいます。 磁気嵐が起こるとき、緯度の高い地域では「オーロラ」が頻繁に現れます。特に大きな磁気嵐の場合、緯度の低い地域でもオーロラが観測されることがあります。