阪神が”第3の武器”で5割復帰!
阪神が2日、甲子園球場で行われた横浜DeNA戦に3-1で逆転勝利、勝率を5割に戻した。横浜DeNAの先発は、防御率1点台の平良拳太郎(25)だったが足でプレッシャーをかけて攻略した。試合後、矢野監督は、「自分の中でのMVPは島田」と、逆転の走者となった島田海吏(24)のプロ3年目の初盗塁と、執念の本塁ヘッスラで追加点をあげた江越大賀(27)の走塁を称えた。2人はスカウト陣がスピードと身体能力を買って獲得、矢野監督が2018年の2軍監督時代に金本知憲・前監督と連携を取りながら育てた“金本遺産”。阪神に近本光司(25)を筆頭に機動力という“第3の武器“が浸透しつつある。
矢野監督は盗塁成功の代走島田をMVP指名
矢野監督が動いた。 1点を追う6回。近本光司、糸井嘉男の連打で無死一、三塁にすると一塁走者の糸井に代走・島田を送る。打者・サンズのカウント1-2からの4球目だった。上武大出身の”快速”島田が平良の投球フォームを盗みプロ初盗塁に成功した。逆転の走者である。 平良にプレッシャーがかかった。 「同点までOK」のピッチングができなくなったのである。サンズが三振に倒れた後の4番、大山悠輔。打ち気満々の大山は、外のボール球の変化球に手を出した。この日は、2打席、平良が生命線とする外角のボールの出入りで二ゴロ、三振と料理されていた。だが、得点圏に逆転の走者を背負ったプレッシャーが緊張に変わり平良の手元を狂わせる。スライダーがボール半分ストライクゾーンに入った。それを大山は見逃さない。バットの先っぽ。ふらっとした打球をライト前に落とす。逆転の2点タイムリーである。 「狙い球というより、どんな形でもランナーを返すことだけを考えていました。どう意識? いやあ、まあ、打つだけです。打てていなかったので大事なところで打てて良かったです」 逆方向を特別に意識した打球ではなかったが、崩れず振り切った「自分のスイング」(大山)が幸いした。 「ラッキーなヒットだったが、どんな形であれ欲しかった点なのでうれしかった。打ったのは大山だが、MVPは、島田の盗塁かなと思っている。あそこで走る勇気、それでセーフになるのは本当のプロ」 矢野監督は逆転のきっかけを作った島田の足を称賛した。 機動力という”第3の武器”で勝った試合だった。 8回には代走・江越が足で追加点を奪う。 一死一、三塁から、梅野隆太郎の打球は、ショート大和の守備範囲。横浜DeNAが併殺狙いの中間守備を敷いていれば、ジ・エンドだったが、大和は中間守備より、やや前にいて、セカンドの柴田竜拓は前進守備。大和はバックホームを選択したが、「ゴロ・ゴー」のサインに江越が最高のスタートを切った。クロスプレーになったが、執念のヘッドスライディングで戸柱恭孝のタッチをかいくぐった。江越は滑り抜けた姿勢のまま両手を広げるスーパーマンポーズで喜びを表現した。 「(江越)大賀しかセーフになれないようなスタートとスピードとスライディング。すべてが大賀らしい」。矢野監督は江越もMVPに付け加えた。