阪神のボーアとサンズがNPB史上初の新外国人アベック満塁弾…外国人野手の”黒歴史”にピリオドを打てるのか?
阪神が28日、神宮球場で行われたヤクルト戦に20ー5で大勝。ジャスティン・ボーア(32)とジェリー・サンズ(32)がアベック満塁弾を放ち、新外国人によるアベック満塁弾は、NPB史上初の快挙となった。2人は、ここ数年続いていた阪神の新外国人野手の”黒歴史”にピリオドを打つことができるのだろうか。
ボーアが不得意速球を狙い撃ち
2回二死。雨の神宮球場の塁は埋まっていた。 打席のボーアの表情には余裕があり、逆に制球が定まらず初回に3点を失っていたヤクルトの先発イノーアは息も絶え絶えだった。 ボーアにもストライクが入らずボールが3つ続く。 ボーアは次の4球目の甘いストレートを振りにいった。ファウルになったが、ボーアは珍しく不得意とされるストレートを狙っていた。5球目も147キロのストレート。真ん中低めで、見送ればボールだったかもしれない難しいコースだったが、すくい上げるようにフルスイングすると、打球はまるで引力が存在しないかのように上昇角度を保ったままライトポール際のスタンドへ突き刺さった。 「満塁ホームランは気持ち良かったね。前の打者がいい仕事をしてくれたから。それに続いていい仕事ができて良かった」 謙虚にグランドスラムを振り返った。満塁本塁打は早くも5日の広島戦に続く2本目である。ボーアは6回にもライト前タイムリーを放っていて、この日、5打点。敵地でのヒーローインタビューに呼ばれた“新助っ人“は「ありがとうございます」と、日本語で雨の中、最後まで応援してくれた阪神ファンに挨拶をした。 もう一人の新外国人サンズも4回二死満塁の場面でボーアに続く。ヤクルトの2番手の坂本が2-2から外角の高めに投じた148キロのストレートを見逃さなかった。得意のコースである。逆方向に飛んだ打球は、ファウルにならずライトスタンドへ。この一打で10点差とし、強力打線のヤクルトをギブアップさせた。 記録をめくると、1試合2本の満塁本塁打記録は、これが28回目。阪神では2010年5月7日の広島戦(甲子園)で城島健司とマット・マートンが記録して以来、10年ぶり。外国人選手によるアベック満塁本塁打は1978年4月20日に広島のギャレットとライトルが狭いナゴヤ球場の中日戦でマークして以来になるが、実は、さらに面白い記録が。今回の新外国人によるアベック満塁弾はNPB史上初の快挙となったのである。 裏を返せば、NPBの長い歴史を見ても、いかに新外国人には、当たり外れが多く、しかも2人揃って新外国人が活躍することが難しいかを物語っている。