罠を張った数センチ単位の勝負…衝撃KOでラスベガスデビューを飾った井上尚弥の”神技カウンター”の裏側にあったもの
さて世界が注目しているのは井上の次戦だ。 ESPNも短いインタビュー時間にそのことを聞き、井上は、「計画としては、ドネア、ウーバーリ、カシメロをターゲットに考えている。タイミングの合う方とやりたい」と答えた。 弟・拓真との統一戦を制したWBC世界バンタム級王者のノルディ・ウーバーリ(34、フランス)は、井上とWBSSの決勝で激闘を演じた同級1位のドネアと12月12日に米国で防衛戦を行う予定で、WBO世界同級王者のジョンリエル・カシメロ(31、フィリピン)は4月25日に対戦する予定だった相手。いずれにしろ狙うは3本目のベルトである。 大橋会長は渡米前にIBFの指名試合の話があることを明かしていたが、マッチメイクのキーマンであるトップランク社のボブ・アラムCEOは、フィリピンのビジネス・ミラー紙の電話インタビューに答え、「カシメロと井上の統一戦が来年2月か3月に行われるかもしれない」と語っている。アラムCEOは、このカシメロ戦を米国でPPV形式(課金制TV)で実現し、ビッグバウトにしたいとの意向さえ口にしたという。今回のファイトマネーは、軽量級では破格の約1億円だったが、巨額マネーを生み出すPPV形式に変わるなら、さらにファイトマネーは吊り上がるだろう。 またアラムCEOは、「井上はセンセーションを与えた。彼の戦い方は、若いころのマニー・パッキャオを思い起こさせた。フットワークはとても早く、バンタム級とは思えないパンチを放つ。とてつもないファイターだ」とも評価した。 「これが第2章のスタートです」 井上は、憧れの”聖地”から世界的な大スター、パッキャオが歩んだ道に、大きな一歩を踏み出したのである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)