百貨店は客・従業員をどう守るのか? 「集客」と「3密回避」のはざまで【#コロナとどう暮らす】
感染予防ガイドラインの中身は?
政府は、新型コロナウイルス感染者の増加を受け、4月7日に東京都など7都府県に緊急事態宣言を出し、同16日には全都道府県に拡大しました。これを受け、百貨店業界も食料品売り場を除いて順次休業に入りました。5月に入り、休業要請が解除された都道府県の店から営業を再開するなど営業範囲を徐々に拡大し、5月27日には大丸・松坂屋および高島屋の全店、5月30日には三越・伊勢丹の全店で全館営業を再開しました。 この間、百貨店の業界団体「日本百貨店協会」はスーパーやドラッグストアなど11の小売店業界とともに、医療の専門家の指導の下、「小売業の店舗における新型コロナウイルス感染症 感染拡大予防ガイドライン」を5月14日付(22日改訂)で策定しました。 ガイドラインには、(1)店舗における感染予防対策(2)従業員の感染予防・健康管理(3)買物エチケットに係る顧客への協力依頼・情報発信――の3つの項目が示され、それぞれの具体例が示されています。 (1)の「店舗における感染予防対策」の主な点。 ▼休憩スペースやフードコートのテーブル、椅子、タッチ式の案内パネルなどを定期的に消毒する ▼化粧品のカウンセリング時、顧客の真正面に立つことを避ける ▼食料品の試食販売を中止する ▼混雑につながるような販売促進策を自粛する ▼混雑時の入店制限、入店者の分散化を検討する ▼顧客が発熱その他の感冒様症状を呈している場合には、入店の自粛を依頼する (2)の「従業員の感染予防・健康管理」の主な点。 ▼従業員用の休憩所や事務所等のバックヤードにおいて「3つの密」を避ける ▼共有電話など複数の者が触れる箇所・ 機材などの消毒を定期的に行う ▼通勤時には時差通勤など出来るだけ混雑を避ける方法を選択する ▼従業員に対し、体調が優れない場合には休みやすい環境作りに努める <注意>就労に対する不安や様々な事情(妊娠、高齢者介護など)を抱える従業員には配慮が必要。 (3)の「顧客への協力依頼・情報発信」の主な点。 ▼店舗内などで他の顧客および従業員との一定の対人距離を確保してもらう ▼精算を待つ際は間隔を空けて並んでもらう ▼発熱や風邪の症状がある客には入店を自粛してもらう ▼可能な限り購入しない品物への接触を避けてもらう