夫の会社で退職金制度が廃止になり、代わりに「毎月3000円」支給されることになりました。かなり損をしている気がします…
退職金を老後の生活費として使いたいと考えている方もいるでしょう。しかし、もし退職金制度が入社後に廃止されてしまうと、老後の資金計画が狂うことになります。 退職金制度が廃止されたときは、廃止される代わりに手当が増えるのか、また月給は上がるのかなどを確認しておきましょう。今回は、退職金の平均額や廃止される代わりに毎月手当をもらった場合の差額などについてご紹介します。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
退職金の平均額はいくら?
厚生労働省が公表している「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」によると、学歴別および退職給付制度別の平均給付額は表1の通りです。なお、今回は勤続20~24年の数値をまとめています。 表1
出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」を基に筆者作成 退職一時金制度とは、退職時に一括で支給される形式の退職金です。一方、退職年金は、一定の金額が定期的に支給され、会社によって終身か有期かは異なります。
毎月3000円を受け取ると退職時にはいくらになる?
今回は、毎月3000円を受け取ったとして、退職金の平均額と比較しましょう。まず、毎月3000円を20年間受け取ったときの合計金額は「3000円×12ヶ月×20年」で72万円です。24年間の場合だと、86万4000円になります。 表1の厚生労働省の平均退職金と比較しても、最も低い高校卒業(現業職)のケースより290万6000円低い結果です。もし退職金を老後の生活費に充てる予定だった場合、退職金制度の廃止により「かなり損をした」と感じる方もいるでしょう。 また、毎月3000円を金利0.3%の単利で20年間積み立てした場合でも、20年後の金額は利息も含めて73万7215円です。やはり、積立預金でも退職金を大きく下回る金額になります。貯金額によっては、老後に回す資金計画の見直しも必要でしょう。
退職金制度がなくなること自体は違法ではない
退職金制度が廃止される、給料が低くなるといった従業員にとって不利な変更は「労働条件の不利益変更」と呼ばれます。労働契約法第9条では「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない」と定められており、従業員との話し合いが必須です。 言い換えると、従業員から同意が得られていれば、退職金制度の廃止も法律上は問題ないでしょう。 ただし、労働契約法第10条によると、変更後の就業規則を従業員に周知させたうえで、不利益変更の内容などが合理的である場合は、従業員から合意を得ていなくても条件を変更できるケースがあります。 また、労働組合があるときは、労働組合の代表もしくは多数決などにより退職金制度が廃止される可能性もあるため、今回の事例のような一従業員である夫が合意していなくても廃止される場合があるでしょう。 納得できないときは、条件変更の内容をよく確認し、必要に応じて会社と話し合いが必要です。