道東唯一の百貨店「藤丸」閉店から2年。「大好きな藤丸を守りたい」再建誓う新チーム2030年再オープン目指す 北海道・帯広
新藤丸が開発・運営する3つのフロアは「上質でうれしい十勝と出逢える」がコンセプト。地下1階は「食」をテーマに十勝・帯広の食を発信するフードマーケット、1階は「住」をテーマとしたローカルライフマーケット、2階は「集」をテーマに子どもたちの遊び場や市民が活動するコミュニティスペースを展開する計画だ。 山川さんは言う。 「藤丸は百貨店には戻れないけれど、旧藤丸が地域で担ってきた価値は凝縮して受け継いでいきたい。百貨店として培った審美眼を引き継ぎ、上質なもの、ちょっといいものがここで買える。十勝・帯広の逸品を発信しながら、同時に地元の人が求める日本・世界の良い品を提供する。さらには若者が放課後に青春を謳歌したり、家族が週末に外食を楽しんだり、子どもたちがめいっぱい遊べるようなスペースを設けて、みんなが集える場にしたい」 建物が完成するまでの間は藤丸の北西、約1000坪のスペースを借りて仮設商業施設「藤丸パーク」を設置。再オープンまでのつなぎ営業として仮設店舗の運営やイベントの開催を行う。 トレーラーハウスのショップを常設し、十勝・道東の食材を使ったバルや食材販売店、十勝・道東のクリエイター作品を扱う物販店などをリーシングする計画だ。それ以外にも、物産展やマルシェ、ポップアップショップ、ビアガーデン、音楽フェス、アウトドアサウナといったイベントなどを頻繁に開催することで、にぎわいを創出する。 「街中は人が交流するところ」と村松さん。「藤丸は民間の商業施設に違いありませんが、やはり公的な役割もあると考えています。2025年夏に開設する『藤丸パーク』は再建までの時間的なつなぎの事業ですが、駅前地区と中央公園、その先に広がる官庁街とを接続する空間的なつなぎの意味合いもあります。再建後の藤丸はもちろんですが、それまでの間も、藤丸は人が集い、まちに活気をもたらす核となる存在でありたいと願っています」 「藤丸パーク」のオープンに向けて現在、専用サイトで協賛を受け付けている。個人・法人問わず、1口3,000円からの協賛が可能だ(2025年3月頃までの予定)。 「藤丸を廃墟にしてはならない」。その思いが数珠つなぎとなってプレーヤーを引き寄せ、スタートした藤丸再建プロジェクト。行政でも、大手デベロッパーでもない、新藤丸チームに十勝・帯広市民の願いは託された。2030年に向けた「藤丸」の航海にこれからも注目していきたい。 ●取材協力 藤丸株式会社 株式会社そら
SUUMOジャーナル 編集部
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