復興は「地方創生への橋渡し」 経験・ノウハウ残すことも“使命” 復興庁・末宗事務次官
特別な施策としての復興事業というのは、地震・津波被災地域はあと5年が1つの目標だと思います。福島は、やはり放射線の影響は見極めきれないので、具体的にいつまでとは言いにくい面があります。 今回の震災対応は単なる復旧ではなく「創造的復興」だと言われています。例えば、ハード面にしても、被災地を南北に貫いた三陸沿岸道路などは、大震災の復興のためでなければこんなに短期間では出来ていません。宮古市や釜石市が仙台までつながるので、広域観光に生かすことだってできます。人口が減る中で、地方創生の観点からどう賑わいを取り戻すところまで持っていくのか、というのが次のステージになります。 被災地域の自治体が自立することが重要です。ずっと国に依存するということではなく、どうやって整ったインフラや復興で培ってきた官民協働の教訓を生かしていくかは被災地の人たちが中心になって考えていかなければなりません。
どこかで復興のステージが終わり、人口減少などの各課題に対して他の自治体と同じように向き合わなければならなくなります。被災地の各自治体が自立して持続可能な社会を築いていくことを今から見据え、復興に取り組んでいます。地方創生への「橋渡し」みたいなことを意識しています。
Q:今後も大規模災害が起こると予想される中、蓄積した知見・経験を恒久的に生かせる組織になった方がいいとの考え方もあるのではないでしょうか?
今回、復興庁(の設置期限)を延長するときに、全国で大規模災害が多発しているから、防災の担当部局と一緒になって「防災庁」みたいなものを作ったらどうかという意見もありました。 しかし、特に福島の復興はまだまだ道半ばです。それが全国の災害対応の一環となると、比重が薄まってしまいます。被災自治体からもそうはしないでほしいという要望があり、復興庁を今のまま継続させるという立て付けになりました。 まだ先の話ですが、だんだん復興が収束した時には一つの組織にするという考え方もあり得るのではないかと思います。次の5年、10年が経った時点では様相が変わってきているはずです。あるいは、南海トラフ大地震が起きたら、その担当大臣や組織ができるかもしれません。もともと日本は地震国でもあるし、気候変動のこともありますから今より災害、防災部局の機能を強化するという方向だと思います。