息子が「発達外来」に行くことをためらう夫に妻がかけた言葉とは? わが子が「DCD」と診断されたママ漫画家に聞く
■その子の特性に合った、効果的な方法で ――ご自宅で、工夫していることはありますか。 漢字の練習は、たくさん書くのではなく、聴覚優位のウノの特性をいかして「のぎへん」と、声に出しながら書く方法を取り入れています。また、字を大きく書いて練習することで形をより正確に書けるようになって、少し練習も安定してきました。それでも、字形が悪いと学校でバツになってしまうことは、あるんですけどね。 あと、ウノは音楽が好きで、小さなころからピアノを習っています。手先が器用でないので練習は大変でしたが、地道に続けてきました。先日、学校の合唱コンクールの伴奏者に選ばれて、「僕って、ピアノがちょっとできるんだ」と感じられたようです。何か自信につながることが一つ見つかって良かったなと思っています。 ――現在、ウノくんは中学1年生ですが、中学での様子はどうですか。 今年の4月から学校での合理的配慮が義務化されたこともあり、中学の先生方も真剣に話を聞いてくださいました。パソコンでノートをとったり、必要なら倍の大きさのテスト用紙の使用が可能だと提案もいただきました。今のところテスト用紙は通常サイズで対応できています。 ただ中学では、成績に関わるため、実技を家に持ち帰ることはできず、必要なら放課後に残って一人でやることになります、と言われました。受験のこともありますし、体育や美術、書道などの手先を使う副教科への対応は悩ましいです。体育だったら速く走れなくても「せめて走るフォームはよくしようよ」といった話を息子としています。先生とは、「DCDだから、こういうふうにしたい」と、中学では自分から相談できるようになるといいね、という話をしているようです。 ■夫や両親は「自分もそうだった」「大げさだ」と後ろ向きだった ――夫や、ウノくんの祖父母とのコミュニケーションはいかがでしたか。 夫も運動が苦手だったようで、「自分も乗り越えてきたんだから」という気持ちがあったみたいです。「そのくらいで発達外来に行くの?」という反応でした。ウノが友達と公園で遊ぶ様子を見ていないから、ほかの子との違いも具体的に分かっていないのかなと思います。結局、「ウノの人生が明るいものになるかもしれないんだから」と夫を説得して、発達外来に行くことになりました。