国土の7割を覆う森へ、5割の人が行かない。''林業漫画家''平田美紗子さんが語る森に行くことのススメ
葉のスケッチから始める森林保全
── 森の環境を守るために、私たちができることはありますか。 まずは森が循環するよう管理している木材でできた製品を大切に長く使うことです。木材製品を使用することによって国産材に需要が生まれて付加価値がつき、森林の維持・管理にお金が回りやすくなります。 2017年には、正しい流通に乗った木材の利用を促進することを定めた「クリーンウッド法」が施行されました。間伐材を使用していることを表す「間伐材マーク」や、国内外の森林認証制度(※)もあるので、家具などの木材製品を買う前にチェックしてみるといいかもしれません。 ※国際的な森林認証制度として、森林管理協議会(FSC)が管理する「FSC認証」とPEFC森林認証プログラムが管理する「PEFC認証」の2つがある。日本独自の森林認証制度は、一般社団法人 緑の循環認証会議(SGEC/PEFCーJ)が管理する「SGEC認証」。 また、私自身も自宅の中古マンションをリノベーションするときに、北海道産の木材を使ってもらったことがあります。 当初、リフォーム業者さんに「北海道産の木材を使ってください」とお願いしたときは「外国産材しか使ったことがないので無理だと思います」と言われました。でも、その後も粘って交渉し続けた結果、「試してみたら意外と簡単にできました」と言っていただいたんですね。 要するに、工務店さんやリフォーム業者さんは外国産材の利用が当たり前になっていて、国産材を利用する発想自体がないだけだと思うんですよね。料金もそれほど高くなかったですし、消費者である私たちができることは意外と多いはずです。 ただ、個人的には、まず森に行っていただきたいと思いますね。森に行って楽しんだり癒されたりすれば、「この森を守るにはどうしたらいいんだろう」「この森とこれからも共に歩むには何ができるだろう」という発想が自ずと生まれると思うので。 ── 森の行楽と聞くと「ハイキング」が真っ先に思い浮かぶのですが、ほかにもおすすめの楽しみ方はありますか? 私は絵を描くのが好きなので「ネイチャージャーナル」という自然観察日記を描いています。毎朝散歩したときに、そのときに見つけた動物や植物をこんな風に描いているんですよ。