「大阪市廃止を阻止できて安堵」「正直驚いた」大阪自民 “否決”にも硬い表情
「まずは大阪市廃止を阻止できて安堵している」――。大阪都構想の是非を問う住民投票で反対多数が確実の情勢となった1日夜、自民党大阪府連会長の大塚高司衆院議員は記者会見でこう述べた。反対運動を引っ張った大阪市議団の北野妙子幹事長も「正直驚いた。数の上ではかなり劣勢だったので」と僅差での都構想“否決”の感想を口にした。 【動画】都構想「反対多数」 松井市長「2度目の敗北。まさに大阪市民の民意」
10年間の都構想議論で「他府県に遅れ」
午後11時。「勝利」が決定的となり、会見場に入ってきた自民党府連や市議団メンバーの表情は硬いようにみえた。そのことを問われた北野氏は「拮抗していた結果なのが一番大きい。市民の半数が賛成し、半数が反対したという事実を厳しく受け止めなければならない」と神妙に語った。 大塚会長も会見冒頭で「この結果を踏まえ、大阪市を残した形でこれからもより良い元気な街にしてほしいという気持ちがひしひしと伝わってきた。真摯に受け止めねばならない」と気を引き締めた。 10年越しの決着となった大阪都構想。大塚会長は「この10年間、特別区の設置について多くの議論を重ねる間に、他の府県に大きく遅れを取った部分もあった」と強調。また「賛成派、反対派、いろんな議論が重ねられてきたが、市民の感情が分断されたところもある。これからそれを一つにしていくために鋭意努力を重ねたい」とも述べた。2025年の大阪関西万博に向けては「松井市長や吉村知事とも連携を取りながら必ず成功裏に収める」との意向を示した。 今回の住民投票では、大阪維新の会に加えて公明党も賛成側に回り、大阪自民党や共産党などが反対するという構図になった。投開票された1日夜のメディアでの開票速報は、当初は賛成派がリードしていたが、最終盤になって反対派が逆転し、そのまま反対多数が確実に。北野氏は「テレビで『反対多数』というテロップが出たときは信じられなかった」と率直に語ったが、「(賛否が拮抗した)このような住民投票が5年に2回もあるということ自体あってはならないこと。もう3度目はあってはならない」と維新側をけん制した。 勝因を問われると「住民サービスが低下するからこそ、(市民の)皆さんが問われている。都市のランクアップとかサービスが向上することが分かっている時に、この住民投票はないんだと言い続けてきた。そのことを知るだけでNOになると言い続けてきた」と説明。さらに「同時に大きかったのが大阪市を廃止するという(投票用紙の)記述」だといい、前回の住民投票にはなかったこの文言を「市民の皆さまがきちっと理解されたことが大きい」と推察した。 (取材・文:具志堅浩二)