大阪都構想「良いものか分からない」「やってみたらいい」住民説明会
大阪都構想「良いものか分からない」「やってみたらいい」住民説明会
政令指定都市である大阪市を廃止して、4つの特別区に再編する「大阪都構想」の賛否を問う住民投票(11月1日投開票)に向けて、大阪市は4日、大阪市内のホテルで住民説明会を開いた。会場に集まった市民はどんな思いで足を運んだのか。大阪市の松井一郎市長と大阪府の吉村洋文知事の説明をどう聞いたのか。参加者に話を聞いた。 【中継録画】「大阪都構想」住民投票に向けた説明会を開催(2020年10月4日)
吉村知事「奇跡的な状態」を制度化
午前10時半から始まる予定だった住民説明会には、開始の1時間以上前から会場に集まる市民もいた。会場前方の席で開始を待っていた阿倍野区の主婦(73)は「都構想には賛成」だという。「やってみたらいい。具体的にはうまく言えないが、大阪はよどんでいる感じがする。変えないといけない。変えてみて、だめならまた考えればいい」と大阪には変化が必要だと語る。2015年に行われた前回の住民投票でも賛成した。「今日は都構想に関する詳しい話をちゃんと聞きたい」。 一方、都島区の飲食店経営者の男性(80)は「都構想が良いものなのかどうか、分からない」と賛否を決めかねている様子。「店の客も皆、分からないという。みんなそうちゃうかな。個人的には、高齢者にはメリットがないように感じる」。前回の住民投票では結局白紙投票したという。 生野区に住む派遣社員の女性(41)は「二重行政の解消というメリットがあるというが、それは知事と市長の話し合いでどうにかならないのか」と首をかしげる。前回の住民投票では反対票を投じた。「今は反対の立場ですが、メリットとデメリットをしっかり聞いた上で判断したい」。 住民説明会ではまず事務局が、特別区設置協定書の内容を説明。その後、松井市長、吉村知事が登壇した。大阪都構想では、大阪市を廃止して現在24ある行政区を4つの特別区に再編。特別区の首長は公選で選ばれ、区議会も置かれる。松井市長は「今の270万人(の大阪市)ではなくて、それぞれ70万人前後の自治体(特別区)にすることで、皆さんのニーズに応じた住民サービスができるんじゃないか」、吉村知事は「(過去の)大阪府と大阪市は二重行政、権限争いをしてトータルで大阪の方向性を決めて実行することができていなかった。この10年間は(知事と市長を維新の会が担った)バーチャル『大阪都』だった。これは人間関係という非常に脆弱な関係に基づくので、今の『奇跡的な状態』をきちんとした制度にしていこう」などと説明し、二重行政の解消や都構想の意義を訴えた。 約2時間の説明会の中で、都構想の説明に約1時間39分を費やし、残りの時間を質疑応答に充てた。質問に立った市民は7人。「大阪市民にとってはどうしても都構想のメリットが感じられない」「水道料金は上がらないのか」などの質問が出た。市は質疑時間を10分延長したが、最後の質問を受け付けた際に、まだ10人強の人が手を上げていた。