手打ちの「ひやむぎ」を食べたことある? 従来のイメージを覆す衝撃的なのど越しと食感!
この味わいのポイントは、小麦だ。こちらの店では、そば粉も小麦粉もなんと自家製粉!
「自分の店で使うそば粉を栃木県で探していたところ、その農家さんが小麦も作っていたんですね。試してみたらこれがとても良かった。『農林61号』という戦後に栽培が広まった古い品種なんですが、小麦自体の味が強いといいますか、昔懐かしい小麦の風味が魅力なんです」
そば粉を自家製粉することは決めていたので、なりゆきでひやむぎやうどんに使う小麦粉も自家製粉することに。
ただ、「ちょっと後悔しています(笑)」と苦笑する井面さん。そばに比べ、小麦の方が粉にする手間が格段に大変なのだとか! 大手の製粉会社とは機械も違うためなかなか品質が安定せず、時間もかかる。水分量が安定している大量生産の小麦粉と違い、季節により粉の水分量も変化するため、生地を打つ際に繊細なコントロールも必要となる。そこはまだ、井面さん自身も日々試行錯誤だという。また、生産農家自体が少なく、天候によっては一定量を仕入れられないリスクも。
そんな大変さもありながら、自家製粉の小麦粉にこだわるのは、やはりその味わいが格別だから。 「ひやむぎは特に『手打ちのひやむぎなんて初めて食べた』『びっくりした』というお客様が多いんです。そういう声を聞くと、大変だけれどもやっていてよかったな……と思いますね」
これが「蕎麦 いのも」の「ひやむぎ」
茹で上がったひやむぎは、その透明感にまず見惚れてしまう。細麺ゆえ、できたてのおいしさを味わうにはスピード勝負! 提供されたらすぐにいただこう。
実は店でも提供しているうどんと工程は同じで、ひやむぎは切り幅を変えているだけだという。しかしながら、しっかりしたコシとつるりとしたのどごしの良さ、噛みしめるほどに口に広がる小麦の味わいは、これまで食べてきたどんな麺とも違う。
川口「ひやむぎの注意は、のんびり食べているとあっという間にこの最高の食感が失われてしまうこと! ぜひ茹でたて、できたてを、阿吽の呼吸でいただきましょう。」