20歳ホープの宮代大聖が逆転勝利の神戸戦で決勝点…なぜ川崎Fには日替わりヒーローが生まれるのか?
宮代は一瞬の溜めを作ってDF菊池流帆をかわし、内側へ短いパスを出す。ダミアンへパスを出した後にスプリントしていた脇坂が拾って一気に抜け出し、ペナルティーエリアの直前でDFダンクレーを引きつけた上で、自身の右側をフォローしてきた宮代へ完璧なスルーパスを通した。 「ゴール前では冷静に、と練習からいつも意識しているので。それが上手く出せたと思っています」 飛び出してくるヴィッセルのGK飯倉大樹の動きを見極め、ペナルティーエリア内の対角線を縫うように、右足でゴールの左隅へパスを流し込んだ。ただ、後半21分からFW齋藤学との交代で今シーズンのリーグ戦で10試合目のピッチに立った、宮代が歓喜に浸ったのも一瞬だった。 「とにかく結果を出したい、という強い気持ちをもってピッチに入りました。でも、やっぱり1ゴールだけじゃ満足できないし、これからもゴールを取り続けないと、試合にも出続けることもできない。そこは一日、一日を大切にしていきたいと思っています」 この言葉に2位のセレッソ大阪に勝ち点で8ポイント差をつけて、首位を独走するフロンターレの強さが凝縮されている。宮代はヴィッセルに6-0で快勝した、2日のYBCルヴァンカップ準々決勝で後半35分から途中出場。同42分にフロンターレにおける初ゴールを決めている。 しかし、5日の横浜F・マリノスとのリーグ戦では試合出場はおろか、ベンチにすら入れなかった。小林にダミアン、家長昭博、復調した齋藤、そして三笘薫(筑波大)と旗手怜央(順天堂大)の大卒ルーキーコンビ。フロンターレFW陣の層はリーグで最も厚く、マリノス戦でも先制されながら三笘の2発、そして家長のゴールで難なく逆転勝ちした。鬼木達監督がこの1週間を振り返る。 「マリノス戦の後も彼(宮代)をしっかりと見ていましたけど、練習でいいプレーが続いていたし、加えて気持ちも入っていたので、これはいけるだろう、というのがありました。得点を取る、というところに対してはやっぱり彼は違うものをもっているし、ハードワークもできるので」