20歳ホープの宮代大聖が逆転勝利の神戸戦で決勝点…なぜ川崎Fには日替わりヒーローが生まれるのか?
リーグ戦を折り返してもいない16試合を終えて、奪ったゴール数は47に達した。総得点で2位の柏レイソルが31だから、いかに突出しているかがわかる。しかも、小林と三笘が8ゴールで並び、ダミアンが7、家長が5、旗手とMF大島僚太、故障離脱中のFW長谷川竜也が3で続く。 全員がゴールゲッターであり、チャンスメーカーでもある、Jリーグ史上で最強と言っていい攻撃陣を、新型コロナウイルス禍の今シーズンに設けられた特別ルールが駆り立てている。従来の3から5に増えた交代枠を鬼木監督はすべての試合でフル活用。プレー時間が1000分を超えている攻撃陣は大島だけで、お互いに切磋琢磨しながら、なおかつ適度な休養も取れる好循環が生まれている。 47ゴールの内訳は、ヴィッセル戦のダミアンと宮代を含めて、途中交代でピッチに立った選手が約3分の1の16点をゲット。試合を15分間ごとに区切った時間帯別では、後半31分以降が12点と最も多い。要はリードを奪っていようが、守りに入るつもりは毛頭ない。ゴールという結果を残して次の試合での出場機会を奪わんとばかりに、先発やリザーブを問わずに全員がギラついている。 例えばヴィッセル戦の決勝ゴールが生まれた場面では、殊勲の宮代、アシストした脇坂に加えてダミアン、三笘、大島、DF車屋紳太郎の6人がペナルティーエリア内へ侵入していた。このうち大島以外の5人が途中出場の選手だった意義を、鬼木監督は嬉しそうに語っている。 「途中から出た選手がグングンと走って行く姿勢に、他の選手たちもついていく。あれだけの人数をかけたからこそ、いろいろな選択肢が生まれ、そのなかから最善のものが選ばれたと思っています」 J1が18チーム体制になった2005シーズン以降で最多勝ち点は2015シーズンのサンフレッチェ広島、2016シーズンの浦和レッズの74となっている。同様に最多勝利数は前出の2チームと2010シーズンの名古屋グランパス、2011シーズンのレイソルの23勝。最多得点は2006シーズンのフロンターレの84。そして最多得失点差は、2015シーズンのサンフレッチェのプラス43だ。 16試合で13勝2分け1敗の勝ち点41、総得点47を叩き出してきたペースで最終節までの34試合を終えれば、勝ち点87、年間28勝、総得点100というとてつもない新記録の数々が生まれることになる。総失点15で得失点差はプラス32だが、直近の7試合で9失点とやや顔をのぞかせ気味の綻びを修正すれば、得失点差でも従来の記録更新を視界にとらえる。 もちろん勝負事なので、机上の計算通りに進むとは限らない。それでも真っ向勝負の末に対戦相手をねじ伏せてきた軌跡と、大黒柱のMF中村憲剛も故障から復帰し、すでにゴールを決めている隙のない陣容を見れば、史上最強のドリームチーム誕生にどうしても胸をときめかせたくなる。