“マルハラ論争”あなたはどう思う?―俵万智「感覚の違いが可視化されるのは良いこと」
今日7月6日は「サラダ記念日」。1987年に発売された歌人・俵万智さんの歌集『サラダ記念日』収められている短歌「『この味がいいね』と君が言ったから七月六日はサラダ記念日」は、当時誰もが口ずさめたほど話題を集め、7月6日が「サラダ記念日として広く認識されるようになった。10年以上前にX(旧Twitter)でアカウントを開設し、SNSでも積極的に短歌も発信している俵さん。自身がSNSとどう向き合っているのか、そして最近話題になった“マルハラ”論争についてどう思ったのか、話を聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice) ===== Yahoo!ニュースVoiceでは、“SNS上での言葉づかいに関するモヤモヤ”について、あなたの体験を募集しています。本記事にコメントを投稿してみませんか? =====
『サラダ記念日』の「いいね」と、SNSの「いいね」は通じるものがある?
――短歌『サラダ記念日』の表現は、現代でも影響力を持っています。ご自身ではどう感じられているのでしょうか。 俵万智: 私が「『この味がいいね』と君が言ったから七月六日はサラダ記念日」という短歌を作ってから、「何月何日は何とか記念日」という表現が一般的に使われるようになりました。30年以上前の歌の表現が、今でも使われていることに驚いています。 あと、ここ数年は上の句の「この味がいいね」の部分に注目して、「『いいね』の元祖」とも言われます。「まだSNSもない頃から、『いいね』という言葉をずいぶん早くに見つけたね」と感想をいただいたこともあります。この歌を作った頃は、「いいね」の視点からこの歌が評価される日が来るとは思っていませんでしたから、時代が変わると短歌の読まれ方も変わるのだと実感しています。 ――俵さんはSNS上でも短歌を発信されていますが、SNSを使うようになったのはいつ頃からでしょうか? 俵万智: 2011年のはじめ頃から主にX(旧Twitter)を使っています。私はスマホを持つのも遅かったし、機械にも弱い方なんですけど、当時劇作家の松尾スズキさんがXを始めたと聞いて、それを読みたい一心で一生懸命登録をしたのがきっかけです。言葉が人から人へ手渡されていく様子が数字や他者の反応で可視化されるので「これはなんか面白いぞ」って思ったのが最初ですね。松尾さんはXはもう辞められたんですけど、私は続けています。