伊藤英明、事務所独立「自分のキャリアに自信がない」50歳目前の葛藤と覚悟
俳優の伊藤英明さん(48)は、芸能事務所・グランパパプロダクションを退所し、7月1日をもって独立する。「今までのキャリアに自信がない」「50歳になろうかという男が、ずっと守られてきたという感覚を持っているのが情けない」と、繊細な本音を語った伊藤さん。俳優としての自分を育ててくれた恩人との死別に苦しみ、葛藤を抱えていた過去があるという。独立後は海外へ挑戦すべく、基礎から英語を学びなおしている伊藤さんに、年齢を理由にやりたいことを諦めない“覚悟”を聞いた。(ジャーナリスト・中村竜太郎/Yahoo!ニュース Voice)
50歳を目前に独立を決意「ずっと守られてきたことが情けない」
――なぜ独立しようと思ったのですか。 伊藤英明: 今48歳ですけど、あと2年で区切りの50歳を迎えます。老眼はひどくなってきて、そのうちセリフも覚えにくくなるんじゃないかとか。ちょうどコロナ禍もあったので、このままでいいのか、自分に何ができるんだろうと自問自答する日々があり、俳優として今後どう生きていけばいいのだろうと、ずっと迷っていました。 ――25年間在籍した芸能事務所・A-Teamの小笠原さんが、6年前に亡くなった影響というのも大きいのでしょうか。 伊藤英明: 僕は1997年から2022年まで、小笠原明男さんが創業したA-Teamに在籍し、その後2年間、土井弘子さんが代表を務めるグランパパプロダクションにお世話になりました。25年間かけて、「俳優・伊藤英明」を作ってくれたのが明男さんです。 6年前に彼が亡くなって、一気に自信がなくなりました。僕は自分のキャリアに否定的で、それは明男さんが作ってきてくれたもの。作品に対して僕はがむしゃらですけど、自分は何もできないという気持ちがどこかにあって……。運と事務所のおかげでここまで来たと感じている部分があります。自分の才能って何だろう。自分はそこまでではないと思っているのに、素晴らしい役をいただく機会がある。本当にありがたいんですけど、どこか居心地が悪い。前から人知れずそうした葛藤を抱えていました。そんな僕を支えてくれた恩人を失い、喪失感は大きかったですね。 今までずっと、明男さんと土井さん、二人に守られてやってきたという感覚があったんです。もうすぐ50歳になろうかという男が、守られたという感覚を持ってしまっている。そんな自分への情けなさというのもあって、ここからは自分の責任でやっていきたいなと。僕は「何もしないで後悔するなら、チャレンジしたほうがいい」とよく口にするのですが、個人独立は大変だとわかってはいるものの、独り立ちしてみようと決断しました。 グランパパプロダクションの土井さんに相談したところ快く送り出してくれて、本当に感謝しています。彼女は2つの舞台(演劇)の大役を取ってきてくれ、ストレートプレイに苦手意識があった僕をまたひとつ上に引き上げてくれた恩人で、さらに今回、僕のわがままを懐深く聞き入れてくれました。今まで僕がやってこられたのも周囲の皆さんのおかげと、ありがたさを痛感しています。