明日シカゴマラソンに挑戦する川内ら有力ランナーのプロ転向で日本のマラソン界はどう変わる?
10月7日(日本時間8日)のシカゴマラソンに日本が誇るスターランナーが出場する。2時間7分19秒(日本歴代7位)の記録を持つ大迫傑(27、ナイキ・オレゴン・プロジェクト)と、4月に伝統のボストンを制した川内優輝(31、埼玉県庁)だ。現在の肩書きでは、「プロランナー」vs「公務員ランナー」ということになるが、川内は来春からプロランナーになることを表明している。 箱根駅伝5区の大活躍で、「山の神」と呼ばれた神野大地(25)も5月にプロ転向。2020年東京五輪を前に、日本のマラソン界は大きく変わろうとしている。 川内は、4月のボストン後にプロ転向を宣言。 その理由については、マラソンの自己ベスト(2時間8分14秒)を5年間更新できていないなか、会社員をやめてランナー1本で活動する弟・鮮輝が大幅に自己ベストを更新したことが大きかったという。 一方の神野は、4月30日付でコニカミノルタを退社。チームを通して、「恵まれた環境から離れることは大きな決断ではありましたが、東京五輪にマラソンで出場するという目標を達成するために、私自身の責任でチャレンジしてみたいと思いました」とコメントしている。 二人とも「マラソンでさらに活躍したい」という純粋な思いがプロ転向の決め手になっているが、「プロ」として活動していくことは、陸上界のグローバル・スタンダードといえる。 日本では、高橋尚子がシドニー五輪で金メダルを獲得した後、プロランナーに転向。2003年からスカイネットアジア航空と2年契約で総額3億円(推定)、2005年6月からはファイテンと4年契約で総額6億円(推定)という大型契約を結んでいる。しかし、男子のプロ化はなかなか進まなかった。 その理由は、箱根駅伝では毎年のようにヒーローが誕生するものの、マラソン界にスターが現れなかったことが影響している。また、日本陸上界には、「実業団」というシステムが確立していることも高い壁になっていた。 プロになれば成績や人気で収入が大きく変わるが、実業団に所属していれば、お金の心配はない。収入面で安心して競技に打ち込めるだけでなく、現役引退後も社員として会社に残ることができる。実業団チームを離れて活動することはハイリスクという考えが主流だった。それでも、自分で新たな道を切り開いてきた選手もいる。