“強豪”メキシコを撃破!なぜ久保ー堂安のホットラインが機能したのか?
53年ぶりとなるメダル、それも金色に輝くそれを獲得すると公言しているU-24日本代表が難敵U-24メキシコ代表を2-1で撃破。目指す場所へまた一歩近づいた。 東京五輪男子サッカーのグループリーグ第2戦が25日に行われ、埼玉スタジアムでメキシコと対峙した日本は開始わずか6分にMF久保建英(レアル・マドリード)が、5分後にはMF堂安律(PSVアイントホーフェン)が立て続けにゴールをゲット。メキシコの反撃を後半40分の1点に抑えて、U-24南アフリカ代表戦に続く連勝をマークした。 グループAの首位に立った日本は、28日に横浜国際総合競技場で行われるU-24フランス代表とのグループリーグ最終戦で、引き分け以上で1位突破が決まる。
電光石火の先制弾は「10番」の右手が呼び水となった。開始6分。右タッチライン際からDF酒井宏樹(浦和レッズ)が放った縦パスへ反応した堂安が、内側のレーンを一直線にスプリント。右前方にいたMFエリク・アギーレをかわした直後だった。 追い抜きざまに右手でアギーレを抑え、さらに前へと抜け出した堂安の一挙手一投足を見ていた久保は、以心伝心で自らがゴールを決めるまでの青写真を共有した。 「堂安選手が左手で相手を抑えたときに、自分のところにボールを出してくれると思ったので。走り込んでいって、あとは落ち着いて決めるだけでした」 とっさの出来事ゆえに、久保が右手と左手とを記憶違いしていたのはご愛敬だ。その堂安はアギーレとの間合いを保ち、十分な体勢を取りながら利き足とは逆の右足で、ペナルティーエリアの右外からややマイナスの方向へグラウンダーのパスを送った。 パスの目的地であるペナルティーエリア内の真ん中には、FW林大地(サガン鳥栖)が囮になって左側へ走った産物としてポッカリとスペースが生じていた。ゴールの匂いを嗅ぎ取っていた久保は、左後方から迫ってくるDFホルヘ・サンチェスの気配を察知。タックルが届く前に利き足の左足、それもアウトサイドをヒットさせた。 ゴール左隅へとコースを変えたボールは、オーバーエイジで参戦しているメキシコのレジェンドで、ワールドカップ代表に4度も選出されている36歳の守護神、ギジェルモ・オチョアの牙城に風穴を開けた。完璧にして美しい先制ゴールだった。 久保の技術と状況判断力もさることながら、ゴールが決まるまでの過程で見逃せないのは縦へ全力で走る体勢で、自身の左側に生まれていた状況をしっかりと把握していた堂安の視野の広さとなる。その源泉となる背筋がピンと伸びたランニングフォームこそが、ガンバ大阪に所属していたころから堂安が追い求めていた武器だった。 走っているうちに前傾姿勢が強まってくる癖を、どうにかして直したいと堂安は模索していた。極度な前傾姿勢がプレーに及ぼす悪影響を、堂安はこう説明したことがある。