城氏が東京五輪を語る…日本が南アの「5-4-1」に苦戦し1得点に終わった理由とは?「アトランタ五輪は得失点差に泣いた」
難しい五輪の開幕戦を1-0で勝ち切り勝ち点「3」を獲得したことは評価していい。ただ1得点に終わったことへの不満は残る。試合後に森保監督が「出来ればもっとゴールを奪って楽な試合にしたかった」とコメントしていたがベンチとしても「3―0」くらいのゲームプランを立てていたのではないか。私もアトランタ五輪で勝ち点「6」を獲得しながら得失点差で決勝トーナメントへ進めなかった悔しさを味わっているが、1得点しか奪えなかったことが、今後の展開に影響してくるかもしれない。 なぜ日本はゴールを奪うことに苦労したのか。 日本の攻撃陣に問題があったのか、それとも南アの守備陣が良かったのか、という二通りの見方がある。私は前者だと考えている。選手の動きに特段の緊張感は感じなかったが、見えないプレッシャーがあったのだろう。動きが重たく見えた。特に4試合連続ゴールを決めていた堂安のプレーにキレが見られなかった。 湿度や暑さの影響というよりも、五輪直前のラストマッチとなった17日のスペイン戦の疲労が残った可能性がある。優勝候補と言われる強豪スペインを相手に主導権を握れず、ほとんどの時間帯でリアクションサッカーを余儀なくされた。意義ある引き分けに持ち込んだが、ボールを保持できず対応に追われていた。これまでの代表では経験したことのない疲労が、中4日では抜けきれなかったのかもしれない。 南アの主力選手ら3人が新型コロナに感染し18人が濃厚接触者に認定されるなど、試合開催が直前まで決定しなかった。日本にとって、そこも難しい状況だったが、選手個々のゲームメンタルの作り方などへの悪影響はなかったと思う。 一方の南アは、そういうチーム状況も手伝い「5-4-1」のフォーメーションで全員が引いてブロックを形成する守備的な戦術を徹底した。準備は万全ではなかったはずだが、それほどコンディションに影響はなく、特に「中は絶対にやられない」という意識が統一されていた。シュート数は日本が14で南アが4。身体能力は高いが、個々の技術力はそう高くはない南アを相手に、日本は、再三に渡ってチャンスを作りながら、強固な守りをこじ開けることができなかった。 原因を考察すると、やはり「個の精度」の甘さにいきつく。