【2024年ベストバイ】スタイリスト TEPPEIが今年買って良かったモノ
anrealage homme × nori enomoto スタジャン
F:2点目はご自身がスタイリストとして関わっている「アンリアレイジ オム(anrealage homme)」のスタジアムジャケット。グレーとブラックの2色展開ですが、グレーをチョイスしたんですね。 TEPPEI:普段だったらグレーはあまり着ないしブラックを選ぶんですけど、このグレーは企画段階で僕が「絶対に可愛いですよ」と意見して実現したカラーなので。ここで僕がブラック買っていたら説得力ないですから(笑)。 F:TEPPEIさんはスタイリストという立ち位置ですが、商品企画にも携わっているんですね。 TEPPEI:通常、特に日本においてスタイリストは出来上がった服のスタイリングのみを担当するという関わり方が基本なんですが、アンリアレイジ オムに関してはゼロベースの商品企画から関わらせていただき、デザイナーの森永さん(森永邦彦)と意見交換を重ねながら服を作り上げています。特にこのスタジャンは「ノリ エノモト(nori enomoto)」とのコラボレーション企画なのですが、僕が森永さんに「ぜひ榎本さん(デザイナー 榎本紀子)にジョインしてもらいましょう」と推薦して実現しました。 F:ノリ エノモトとのコラボを推した理由は? TEPPEI:僕がノリ エノモトのモノ作りに感銘を受けていたことが大きかったですね。彼女(榎本)にはインフルエンサーの顔もあるので誤解している人もいるかもしれませんが、自分の足で生地を探して回るなど、物凄く真摯にクリエイションに向き合っている。ノリ エノモトが持つ可愛らしい世界観と森永さんの特徴の1つである丸みのある綺麗なシルエットが融合したらきっと素晴らしいものができると思い、協業を提案しました。 F:アイテムの気に入っているポイントは? TEPPEI:一言で表すのが難しいですね。過去のベストバイを読んでくれた方なら分かるかもしれませんが、僕ってショート丈が好きなんですよ。これはただ漠然と短丈が好きなわけではなく、実はルーツとなっているスタイルがあって。伝説的スタイリスト レイ・ペトリ(Ray Petri)が率いていた「バッファロー(Buffalo)」というイギリスのクリエイティブ集団の写真集に載っているスタイルがそれにあたります。1970年~80年代イギリスのパンクカルチャーを語る時に避けては通れない金字塔的な一冊で、ショート丈のトップスにハイウエストのショーツを合わせる、「背伸びして勇ましく着飾る子ども」を彷彿とさせるようなスタイリングが特徴的なんです。 今回紹介するスタジャンを含むアンリアレイジ オムのコレクションでは、こうしたバッファローのエッセンスを反映させています。例えばこのスタジャンのルックでは、バッファローにあったラップスカートのスタイリングをインスピレーション源として提案したり。自分のルーツであるバッファローを切り口に、現代のパワーをプラスすることで大勢の人にこの魅力が伝わるのではないか、という挑戦的な取り組みで、それを最もよく表現できたのがこのスタジャンだったと思っています。 F:先ほど服が高くなっているという話がありましたが、このスタジャンは10万円代。クオリティに対してお得感がありますね。 TEPPEI:例えば、10万円台か12万円台かで人の気持ちって全然変わるじゃないですか。アンリアレイジ オムは攻めたデザインのアイテムも多いので、少しでも多くの人に手に取ってもらえるように森永さんと試行錯誤しました。 F:なんだか話を聞いていたら自分も欲しくなってきました。 TEPPEI:嬉しいです。このスタジャンはファッション業界で働いている人からの評判が高いのも特徴ですね。自分としても思い入れがあり、自腹で購入したアイテムなので「ベストバイ」として紹介させていただきました。