【2024年ベストバイ】スタイリスト TEPPEIが今年買って良かったモノ
古着屋「ブラックボックス」で買ったヴィンテージアウター
F:4点目からはヴィンテージアイテム。これらはどんなアイテムなんでしょうか。 TEPPEI:2点とも、日頃から通っている千駄ヶ谷の古着屋「ブラックボックス(BLACX BOX)」で購入したアイテムです。大阪の名店「フェザーズゴッファ」を展開する西原さん(西原正博)が東京で運営しているお店の1つなのですが、この西原さん、服の目利きが本当に鋭くて。今日紹介するのはこの2点ですが、僕のワードローブの中には西原さんの系列店で購入した服がたくさんあります。系列店のアイテムは西原さんが一括で買い付けて、テイストによってどのお店に振り分けるかを決めているらしいのですが、西原さんが展開しているお店の中でも特に自分の琴線に触れるアイテムを揃えているのが「ブラックボックス」です。 F:TEPPEIさんの言葉から、西原さんへの信頼が伝わってきます。 TEPPEI:個人的に国内古着界のトップオブトップだと思っています。玄人好みのヴィンテージといった感じですね。古着の知識がある人なら分かる「これは探しても出回っていないよね」というアイテムを揃えているし、それぞれが現代の服と合わせても違和感がないくらいモダンで感度も高い。価格も大衆的で買いやすいですし、「古着の良さ」が凝縮されているなと思います。 F:ダウンジャケットはチェックの色味が可愛らしいですね。 TEPPEI:このダウンジャケットは1970年代のヴィンテージなんですが、メンズ合わせでクロップド丈。1万5000円くらいで買いました。率直に、これを見てどう思いましたか? F:第一印象として、「TEPPEIさんらしい」アイテムだなと。 TEPPEI:実は、僕もこのアイテムを見た時に同じ感覚を覚えました。このダウンジャケットは50年以上前のものですが、自分のスタイルにすんなりなじむアイテムが自分が生まれる前からあって、巡り巡って自分の手元にやってきた。この現実が本当に愛おしいですね。他のアイテムとの相性もバッチリで、真冬に大活躍しそうです。 F:ブラウンのジャケットは「カーハート(Carhartt)」ですね。 TEPPEI:カーハートは近年「サカイ(sacai)」や「マルニ(MARNI)」といった人気ブランドとのコラボで話題になりましたが、ヴィンテージ市場での人気も高まっています。特に定番品は数年前では考えられないくらい高値で取引されるようになったのですが、今年僕が買ったのはそんな定番と対極に位置するような比較的新しい年代の珍品番。長年カーハートを見てきた西原さんでさえ見たことがないという形で、かつめちゃめちゃボロボロ(笑)。2万円もしなかったと思います。 F:裾のあたりとか、まるで何かに巻き込まれたようですね(笑)。 TEPPEI:頑丈な生地を使っているカーハートの服にここまでダメージが入ることなんてなかなかないですよ。どうやったらここまでボロボロになるんだって(笑)。でも、退廃的な雰囲気のアイテムだからこそ、スタイリングする人の力量が問われますよね。このジャケットに上質な服を合わせて清潔感を演出できたら、万人に着られた大衆的なカーハートとは180度違った、唯一無二のコーディネートを組めると思って購入しました。 F:TEPPEIさんのスタイリングは、さまざまなアイテムを使っているにも関わらず最終的に自分自身の「色」に着地する印象があります。 TEPPEI:どんな服をコーディネートしても自分らしく仕上げられるというのは、スタイリングを生業とする人間としてすごく大事なことだと思うんですよ。毎度同じような服を合わせることによって似た雰囲気に落ち着かせるのではなく、さまざまなジャンル、年代の服を縦横無尽に咀嚼した上で、最終的に自分の色に染め上げることは意外と難しい。個人的に意識している部分でもあるので、そう言ってもらえると嬉しいですね。