【2024年ベストバイ】スタイリスト TEPPEIが今年買って良かったモノ
MIU MIU Gジャンとブルゾン
F:1点目は「ミュウミュウ(MIU MIU)」のアイテム。2つとも2024年の新作ですか? TEPPEI:そうです。Gジャンは春に買いました。クロップド丈はミュウミュウでは定番なのですが、このアイテムで特筆すべきは「メンズ合わせ」であること。ミュウミュウは女性服を展開しているブランドなので当然ウィメンズ合わせが基本なのですが、このアイテムは珍しくメンズ合わせで、着丈も通常のクロップド丈のアイテムと比べて長いです。更に裾から裏地が少し出ていて、視覚効果で実物以上に着丈があるように見えるので、メンズでも良い丈感で着用できそうだなと感じたのが購入動機でした。 F:ミュウミュウはラグジュアリーブランドの中でも特に勢いを感じます。 TEPPEI:キャッチーなものが多いですが、割と偏屈に服を買い続けている自分でもツボにハマるような絶妙なバランス感覚を持っているブランドですね。これを着て撮影現場に行くと、「ちょっと着てみたい!」と試着をお願いされることが多かったです。 F:実際に着てみていかがでしたか? TEPPEI:この表現が適当かは分かりませんが、気兼ねなしに着られる服の最高峰、という感想です。インナーもボトムスも選ばず、パッと着て様になる。キメキメにならずに外に出たい日って結構あるんですが、そういう時にピッタリですね。先ほども言いましたが、絶妙なのがこの裾部分。このレイヤーされた裏地がないと、着用時背中部分に空間ができすぎるんですよ。こういった痒いところに手が届く気の利かせ方が流石だなと思いますね。 F:もう1つのブルゾンはコーデュロイですかね。 TEPPEI:そうですね。自分の中では先ほどのGジャンの秋バージョンのような位置付けで買いました。9~10月くらいに伊勢丹新宿店のミュウミュウに寄ったら入荷していたのですが、生地の素晴らしさとシルエット、フィットの良さで即決しましたね。 F:確かに、光沢が美しいです。 TEPPEI:本当に綺麗ですよね。でも、高級感に対してあまりにストレスフリー。このアイテムの購入価格は50万円ほどですが、普通に考えてめちゃめちゃ高いじゃないですか。でも、「雨降ったらどうしよう」「場面によってはいやらしく見えるかもな」といった懸念が一切ないんです。TPOを問わず、どんな時も着られる。これが服の力だなと思います。意外に思う方もいるかもしれませんが、僕は特に仕事の時、日頃着る服をあまり変えていなくて。最低限の変化をつけつつ、秋冬だと良いアウターを羽織って「これでOK」みたいな。こうした僕のライフスタイルからすると、姿見を見なくてもバチっとキマるこのブルゾンは紛れもなく“ベストバイ”です。 F:ファッション業界全般に言えることではありますが、最近の服の値上がりに対して思うことはありますか? TEPPEI:正直言うと、あまりないんですよね。服の価格が上がっているのは今に始まったことではないし、自分が買っているブランドさんはただプライスアップするだけではなく、生地なり縫製なりパターンなり、そこにきちんと意味を持たせてくれているので。ただ、それは自分が有難いことにお仕事をたくさんいただけていて、ちゃんと欲しい服を買えているからこうした考えになるのであって、例えば若い人にとっては深刻な問題ですよね。良い服が安く買えるようになればファッション人口も増えて良いことづくめなんでしょうけど、現在の値上がりは原材料の高騰や円安だけでなく、価値観の変化などさまざまな要因が複合的に絡み合って構成されているので、すぐに解決するのは難しい。少しずつでも良い方向に向かっていけばいいなと思います。