「中学受験で成功した子の親」が貫いた朝型生活 子どものやる気と集中力をどう高めた?
中学受験の成功には親の協力が必須という声もあります。しかし勉強に取り組み、試験に望むのは子ども本人。親が関わる形を間違えると、親子の関係を壊すリスクがあると教育ジャーナリストの中曽根陽子さんは指摘します。 【データ】偏差値70超の中学生の勉強時間 それでは親は何をすべきなのでしょうか?中曽根さんが小児科医の成田奈緒子先生の教えや自身の活動を通して見えてきた「親にできること」について触れた自著の一節をここで紹介します。 ※本記事は中曽根陽子著『<中学受験>親子で勝ちとる最高の合格』(青春出版社刊)より一部抜粋・編集したものです
中学受験で子どもを「壊さない」ために
「壊さない」というのは、「子どもの心身を壊さない」ということです。 中学受験で子どもが壊れる。そんなことが実際に起きています。今の中学受験のシステムでは、睡眠を削って勉強することが当たり前のようです。 特に6年生になると、子どもが布団に入る時間が23時をすぎるご家庭も多いのではないでしょうか。それが常識のように語られることに、私はずっと違和感を覚えてきました。 そして、長く発達障害·起立性障害·不安障害などの悩みを抱えたお子さんのケアをしてきた発達脳科学者で小児科医の成田奈緒子先生と出会い、「生活習慣の乱れ、特に子どもの睡眠不足は、脳の正常な発達という面でダメージが大きい。ダメージを受けるとそれが原因で問題行動が出ることもある」と伺い、違和感は確信となりました。 成田先生のところにやってくる患者さんの中にも、中学受験経験者が増えていると聞いています。
親がやるべきこと「朝型の生活リズムをつくる」
中学受験の塾は、5・6年生になると、終了時間が夜の9時すぎになるところも多いですよね。すぐに帰ったとしても、夕食を食べて、お風呂に入って、そこから宿題に取り掛かったら……なんだかんだ寝るのが深夜になることもあります。 そこまでいかなくても、「学校の宿題もあるし、息抜きの時間も必要なので、つい寝るのが遅くなってしまいます」というご家庭は多いです。感覚が麻痺しちゃうんですよね。私はこれが、中学受験の一番の問題だと思っています。 なぜなら、睡眠時間を削ることが成長期の子どもの脳に与えるダメージは、計り知れないことがわかっているからです。 「でも早く寝ていては、塾の宿題が終わりません」「寝てばかりいて成績が下がったら、子どもの可能性も狭まります」 と考える方もいるかもしれませんが、睡眠をしっかりとったほうが勉強も捗り、成績も伸びるのならどうでしょう。 実際、私の子育て講座に参加された方の中には、朝型に切り替えたら、受験がうまくいったという方が何人もいました。