F1角田裕毅に2年目のジンクスはあるのか…18日にバーレーンGPでシーズン開幕
「ガスリーは僕より経験あるドライバーにもかかわらず、僕よりもエンジニアとのコミュニケーションも多かったんです。それはレースがない日だけでなく、レースが行われる週末も同様でした。僕はまだルーキーでわからないことがあったにもかかわらず、サーキットにいる時間がガスリーより短く、エンジニアとのコミュニケーションも彼の半分以下でした」 チームメートを参考にして、レースが行われる週末の過ごし方を変えたことで、角田は少しずつ自信を取り戻していった。 昨シーズン終盤の第19戦ブラジルGPでは、「いままで感じていた負のスパイラルが消えていった感じがした」と言う。 ブラジルGPはスプリント予選が導入されていたため、予選が1日早く行われ、ルーキーの角田にとっては鬼門だった。同じくスプリント予選が導入されたイタリアGPの予選は17位、イギリスGPの予選も16位と、いずれもQ1落ちしていた。ところが、ブラジルGPはQ3にこそ進出できなかったが、Q2に進出。この自信がその後のグランプリで本来の角田を目覚めさせるきっかけとなり、最終戦アブダビGPでは初めて予選でチームメートに勝ち、レースでは表彰台まであと一歩まで迫り、自己最高位となる4位を獲得する原動力となった。 マシンに対する自信を取り戻した角田だが、22年のF1は大きくレギュレーションが変更され、マシンが変貌した。そのため、挙動は21年までとは大きく異なり、角田がマシンに自信を持つための作業を、また一からやりなおさなければならない。 しかし、昨年は角田らルーキードライバーだけが行わなければならなかったこの作業を、マシンが一新された今年は全ドライバーが行わなければならなくなった。その影響なのだろうか、2月下旬に行われたスペイン・バルセロナでの合同テストでは、チームメートのガスリーが珍しく足をすくわれ、クラッシュした。 その影響で、最終日に走行できないまま、1回目のテストを総合16位で終えた角田に焦りはない。なぜなら、どうすればマシンに対する自信を得ることができるのかについて昨年悩み、その答えを見つけたからだ。 「まだ1回目のテストが終わったばかり。まだまだやるべきことはあるし、それは開幕戦以降も続くでしょう。でも、テストで新車を知るという作業ができたことは本当に楽しい時間でした」 レギュレーション変更によって、マシンが大きく変更された今年のF1、角田にとって2022年は「2年目のジンクス」ではなく「2年目のチャンス」のシーズンになったとしても不思議はない。 3月10日から最後のテストが行われ、18日から開幕戦のバーレーンGPを迎える。 (文責・尾張正博/モータージャーナリスト)