「点滴怖いけど頑張れる」闘病の子に寄り添うファシリティドッグ 小児病棟に広がる笑顔 #病とともに
医師の余谷さんは、だからこそ効果を示していくことが求められると語る。 「費用的なハードルがある以上、それを上回る効果があることを明示できるようにする。それが次のステップとして大事です。そうなれば例えば診療報酬に組み込むといった可能性も出てくるのではないか。今のままでは継続的に寄付に頼ることになるが、それでは数を増やしていくことは難しいでしょう」 実際、マサの活動費用については国立成育医療研究センターでは「アイノカタチ基金」という基金で寄付を募っており、継続的な支援を必要としている状況だ。 日本では長期で入院し、高度な医療を受けている子どもは多い。前出のニーリーさんは「日本でこそ、もっと子どもたちの心のケアをする存在が必要なのです」と訴える。そのためには、ファシリティドッグという存在が広く世間に認識されることが第一歩となる。
国立成育医療研究センターでは多くの子どもたちが病気と闘っている。ちよちゃん(10歳)はベッドに寝たまま点滴の処置を受けていた。決して痛みの少ない処置ではないが、嫌がる様子は全くない。おなかのところにはリラックスしたマサが頭を乗せて寝ているのだ。ちよちゃんはマサの頭を撫でながら穏やかな表情を崩さない。ベッドの脇には自分で描いたというマサの絵があった。マサの優しさがいろいろなものを包み込んでいた。
小川匡則(おがわ・まさのり) ジャーナリスト。1984年、東京都生まれ。講談社「週刊現代」記者。北海道大学農学部卒、同大学院農学院修了。政治、経済、社会問題などを中心に取材している ----------------- 「#病とともに」はYahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。人生100年時代となり、病気とともに人生を歩んでいくことが、より身近になりつつあります。また、これまで知られていなかったつらさへの理解が広がるなど、病を巡る環境や価値観は日々変化しています。体験談や解説などを発信することで、前向きに日々を過ごしていくためのヒントを、ユーザーとともに考えます。