“キラキラネーム”は日本の文化? 好きだったけど…改名に踏み切った子の葛藤
漢字を見ただけでは読みにくいが、華やかな印象もある“キラキラネーム”。そんな名前に関係する戸籍法の改正が6月に行われた。マイナンバーカードなど行政のデジタル化が進められるなか、今回の改正では、出生届や戸籍に名前の「読みがな」を登録する際、自治体が認めるかどうかが問われる場面が出てくることになった。そもそもキラキラネームは制限されるべきなのか。そうした名前とともに生きる人や改名をした人、法制審議会の部会の委員らに話を聞いた。(文:平尾小径/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
「変わった名前」自分のことだけなら我慢できるが…
太陽みたいなギラギラの輝きではなく、小さな星でもいいから一生懸命輝いてほしい、自分らしく生きてほしい──。 関西地方に住む松下星奈さん(仮名、20代女性)は、自分の“過去の名前”の由来についてそう振り返る。小学生のとき「自分の名前の由来を調べる」という宿題が出た。そのとき初めて、自身の名前の理由を父に聞いた。 「星にちなんだ意味はとても好きだったし、私の幸せを考えて名づけてくれたんだと納得できた。それから自分の名前が好きになりました」
だが昨年、松下さんは改名に踏み切った。それまでの名前は「松下ほっしい」だったが、名前によって悩まされることが多かったためだ。小学生の頃は、当時人気のあった芸人「ほっしゃん。」(現俳優の星田英利氏)に関連づけてからかわれた。 「男の子から『なんか面白いことせえよ』と強要されたり、算数のテストの点が悪いと他の子なら何も言われないのに『あいつ、あんな点数しか取られへん』と言われたり。変わった名前が原因で、悪目立ちしていました」 その後も名前に起因する問題はなくならなかった。高校生の頃は「こんな名前をつけた親の気が知れない」と家族のことまで悪く言われた。社会人になっても、名刺交換などで名前を知られると、笑われたり、好奇な目で見られたりした。それは「とてもしんどかった」という。 「名前から勝手な想像をされて、中傷や噂が広がったこともありました。それでも、自分のことだけなら、ぐっとこらえることもできるんです。でも、家族や仕事に影響が出るのはつらい。そうした経験が重なるなかで『名前を変えられたら』という思いが大きくなっていきました」