発達障害の子どもが得意を発揮するために親ができる“環境づくり”のポイントとは 医学博士に聞く
今、教育の場面だけでなく、社会的にも注目されている「非認知能力」。発達障害の子どもは非認知能力をどう伸ばせるのでしょうか。医学博士の芳川玲子さんに話を聞くと、それぞれの得意・不得意を見極め、特性に合わせた環境を意識すると、本人が一番得意なことを発揮しやすくなるそう。子育て・教育情報誌「AERA with Kids秋号」(朝日新聞出版)よりご紹介します。 【図表】非認知能力が伸びやすい家庭のポイント ■「遊び」の中からやりたい意欲を伸ばす 「まず、発達障害をひとくくりにして、非認知能力が低いという思いこみがあるとしたら、その考え方は古いですよ」と医学博士の芳川玲子さん。「例えば、協調性を持つことが得意な子と不得意な子がいます。得意な力をさらに伸ばすという意味では、障害の有無は関係ありません」ときっぱり。 ただし、発達障害の子には、生まれつきの特性で伸ばしづらい力があります。その伸ばしづらい力を伸ばそうとすると、子どもはストレスを抱え、いわゆる発達のゆがみが生じることもあるそう。 親は、つい不得意なことや足りない力に目がいきがちですが「成長のコツは、本人がやりたいこと、やれることに100%の力が出せること。一律教育を受けにくい子ほど、やりたい意欲を伸ばしてほしい」と芳川さん。そのうえで、「遊び」の重要性を話します。 「自由な発想や自尊感情、面白さを見いだす力、協調性。どれも、遊びの中から生まれやすいです」 当事者以外の意識も重要です。「みんなが同じように非認知能力のすべてを伸ばすのではなく、特性に合わせて伸ばせる力を伸ばすという考え方が多様性ですよね」 ■特性に合わせた環境づくりのポイントとは? 自閉スペクトラム症の子の場合…本人にとって安全で静かな環境を 人の気持ちや状況を読み取ることは苦手ですが、優れた創造力を持っていることが多いです。ただし、条件は「静かな環境」。音に敏感な子が多いので、刺激を不快に感じて落ち着かなくなります。本人にとって安全で静かな環境が必要です。親御さんは「外に行かないのかな」「友だちが来ないな」と心配になるかもしれませんが大丈夫。同じタイプの子同士は通じ合えるので友だちが作れないわけではありません。