発達障害の子どもが得意を発揮するために親ができる“環境づくり”のポイントとは 医学博士に聞く
注意欠如・多動症の子の場合…親は管理しすぎず「ゆるくサポート」 瞬時に情報をキャッチして、突然ナイスアイデアを出す力があります。一方、落ち着きなく、部屋を散らかして衝動的に行動することがあるので「何を考えているのかわからない」という親御さんも。つい、整理整頓も日々のスケジュールも細かく管理したくなってしまうのですが、コツは「ゆるくサポート」すること。片付けの場合は、「遊び道具用」「勉強用」と大きな箱を用意するくらいがいいです。細かく規制されると本人は苦痛でしかありません。 学習障害の子の場合…得意なことを褒めて自信をつける 「読む」「書く」「計算する」といった特定の分野の学習が極端に苦手なことが特徴ですが、根本的に合理的配慮があれば知的水準に全く問題なく、最も非認知能力が育ちやすい特性です。ただ、学業の成績が低くなると、「周りと比べて自分はだめだ」と自尊感情が低くなりがち。そんなお子さんには、なおさら得意なことを褒めて伸ばすという親御さんの考えが必要です。「字がきれいに書けないけど別のことはできる」と自信をつけられるような環境を意識してください。 周りのサポートは必須。この子は、本当は何をしたい? 親の生活習慣や性格が発達障害のお子さんと合わず、イライラしてしまうことがあります。親が自分の気持ちに折り合いをつけるのは並大抵のことじゃないので、周りのサポートは必須。とにかく人に言って、考えを整理し、ちょっと落ち着いたら「この子は、本当は何をしたいんだろう」と考えてみます。親子関係は非言語コミュニケーションの部分も重要。子どもは親の言葉の裏にある思いや気持ちを感じています。 (取材・文/AERA with Kids編集部) ○医学博士 芳川玲子/星槎大学大学院教育実践研究科の専任教授。誰もが生まれながらにして持つ「気質」に着目し、公認心理師・臨床心理士・学校心理士スーパーバイザーとして、多くの児童や教師のカウンセリングを担当する。
AERA with Kids編集部