「金融政策の効果は十分あった」日銀・黒田総裁会見1月18日(全文2)
国債保有量が増加。リスクはないのか
記者:日経新聞の小野沢と申します。2点お尋ねいたします。1点目は先ほど別の会社の方も質問されていたんですけども、今、国債の買い入れ量が大変増えています。すでに日銀の国債の保有量は国債の半分を持っているわけなんですけども、これが今後も増え続けることも考えられます。こうした状況にリスクはないのでしょうか。 2点目は、こちらは今回は政策修正があるという観測が高まったことで、市場の動きが非常に激しくなりました。こういったことは過去にもあったわけなんですが、これからも決定会合の前に、決定会合が近づくたびに、こうした市場の攻防が起きてくることが想定されるんですけども、こういった状況が健全なのかどうか、市場と考えが少し違っていたということもあるかもしれないんですけども、市場とどのように対話を進めていくのでしょうか。
特別なリスクがあるとは考えていない
黒田:国債の買い入れ額につきましては、このイールドカーブ・コントロールの下で、いわば従属変数としてそういうふうになっているわけですけれども、現在のような国債保有量の増加が何か特別なリスクがあるとは考えておりません。ただ、もちろん特定の銘柄について、需給が非常に逼迫するというようなことになると問題ですので、そこは国債補完供給の条件緩和とかさまざまな措置を講じて、特定の銘柄について需給があまり逼迫することのないようなことも講じていますし、なんて言うんでしょうか、大きな問題は生じてないというふうに思いますし、他方で、今回、共通担保オペを拡充した趣旨は直接的に国債の需給に影響させることなく、長期金利をイールドカーブ全体の適正な形になるべく、長期金利を低位に安定させるという効果があるということは言えると思います。 それから毎回、決定会合ごとにうんぬんというのはあまり、なんて言うんでしょうか、私どもにとって何か特別な問題があるとは考えておりません。当然、われわれの金融政策については非常にオープンに申し上げていますし、年に4回、展望レポートという形で具体的に経済・物価の見通しも示し、そういうことを踏まえた金融政策というものをオープンに議論し、また申し上げていますので、そういう中でもちろん各国でも同じことが起こりうるわけですけれども、経済市場が動くときにその将来見通しについて、マーケットの人がいろんな見方をされるということは、これはある意味で自然な話で、金融政策当局とマーケットがまったく同じ考えでいなくちゃいけないということもないので、私のほうとしては別に、必要なことは常に金融政策についてオープンに議論して、その考え方、見通しを明らかにして、そういったことを踏まえて毎回の金融政策決定会合で金融政策を決定していくということに尽きるというふうに思っております。