1人4万円「定額減税」を確定させる年末調整の要注意ポイント 「妻の収入が増減」「中学生以下の子供がいる」場合は“記載漏れ”で受けられないケースも
年末は多くの「お金の手続き」が締め切りを迎える。この時期に賢く立ち回ると、家計の収支は大きく改善する。今からでも間に合う「やらなきゃ大損」のワザを紹介する。その代表格が、2024年限定の「定額減税」だ。 【記入例】“記載漏れ”に注意 「定額減税のための申告書」
合計所得金額が1805万円以下(給与年収で2000万円以下)なら所得税3万円、住民税1万円の合計4万円が減税される。納税者本人に加え、同一生計配偶者、扶養親族も対象なので、妻1人と子供2人の4人家族なら計16万円の減税だ。 岸田文雄・前首相が人気取りのために「6月以降の給与明細への減税額の明記」にこだわったことで、会社勤めの人は“あれ、もう減税されているけど?”と思うかもしれないが、実は手続きは終わっていない。 税理士の相原仲一郎氏が解説する。 「6月時点での定額減税は今年の“所得見込み”などがもとになっており、会社員の場合は年末調整で給与所得などが確定して初めて、減税額も確定するのです」 注意すべきは年末調整で提出する「扶養控除等申告書」で妻や子供に係る控除を申請する際の“記載漏れ”だという。相原氏が続ける。 「特に妻の収入が増減している人は配偶者控除をめぐるミスに注意が必要です。例えば昨年まで妻のパート収入が103万円以上(所得48万円以上)で配偶者控除を使ってこなかった人が、今年は妻の収入が下がって配偶者控除の対象になったケース。この場合、夫が配偶者控除の申請を怠ると、妻の分の定額減税を受けられなくなります。 逆に妻の収入が増えて配偶者控除の対象から外れる人は、夫の年末調整で妻の定額減税分が差し引かれる。その場合、妻が必ず年末調整して定額減税を受けましょう」
16歳未満の子供は扶養控除の対象外でも定額減税の対象
中学生以下の子供がいる場合も気をつけたい。 「扶養控除等申告書はその名の通り、基本的に扶養控除の対象になる親族の情報を記入するもので、16歳未満の子供は扶養控除の対象外となります。ただし、定額減税の対象ではあるので、申請書の下部にある『住民税に関する事項』の欄に16歳未満の子供の情報を書かなければならない。それを知らずに申請し忘れる人が出ると予想されます」(相原氏、以下同) 記載漏れをしてしまった場合は「令和6年分 源泉徴収に係る定額減税のための申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書」に配偶者や扶養親族の情報を記載し(図参照)、提出することで修正できる。 年末調整は他の控除を忘れないことも重要だ。 「生命保険や火災保険などの保険料控除やiDeCoなどの控除の申請も忘れてはいけません」 一方、年金生活者など所得税や住民税の納税額がそもそも少なくて4万円の定額減税に達しない人には調整給付金が支給される。 「収入が一定以下で納めるべき税金が少ない人(東京23区で単身者の場合、年金支給額約230万円以下)は、定額減税で引ききれなかった額が支給されます。該当する人には自治体から『調整給付金支給確認書』が届いているので速やかに返送しましょう。すでに受付を終了している自治体もありますが、11月末に設定しているところもある。該当すると思われる人はすぐに確認することです」 ※週刊ポスト2024年11月29日号