“接待疑惑”で注目「総務省」ってどんな組織?
内閣人事局の「功罪」
本来、内閣制度は各省大臣の集まる合議制の機関として、縦割り行政の弊害を取り除き、政府として1つにまとめる調整機能を発揮するのが役割だ。しかし、実際には単なる分担管理者の集まりのようになっている。 それをせめて役人レベル、審議官以上の幹部人事(800人)を通じて省庁の壁を取り払おうとして2014年に生まれたのが「内閣人事局」だった。ただ、狙いはともかく、その「運用段階」で政権中枢の政治家がそれぞれの思惑で実質人事を差配するようになると逆の弊害が生まれ出した。政治家による官僚支配の構図がそれだ。 「官邸に睨まれると損」、だったら「時の政権に忖度する方が得」という官僚行動が生まれた。7年8か月に及んだ安倍晋三政権の時もそうだし、それを裏で官房長官として仕切ってきた菅義偉(よしひで)氏が首相になってよりその色彩が濃くなっていないか。特に、菅首相は総務副大臣、総務大臣の経験者で総務官僚に睨みが利くとされる。総務省の問題はそうした背景もはらんでいる。
“総務省解体”の検討を
この秋には「デジタル庁」が新設される。デジタル庁以外にも、スポーツ庁、観光庁、消費者庁など最近雨後のタケノコのように「庁」ができている。「こども庁」の創設も検討されている。 省庁横断的な“横ぐし”の組織編成が必要と言えば聞こえはよいが、人口が大幅に減り経済も頭打ち、税収も減る中で借金だけが膨れ上がる中で、行政組織だけが膨張していく。これで良いのか?総務省行政管理局は力がなく、行政管理のスクラップ・アンド・ビルドの原則を忘れたかのように自ら膨れていく日本の政府機構は、これが望ましい姿なのか。 実態に即してあえて提言したい。総務省は解体し、旧自治省系は内閣府の地方創生などと合体し自治振興省に、電波行政など旧郵政省系の残った機能は文科省から科学技術庁を引き離し、科学技術省に再編したらどうか。 統計不祥事などが明るみに出た厚労省も「医療福祉省」と「雇用労働省」に分割するなど、先の省庁再編から20年経ち不祥事の絶えない現在、次の一手が求められているのではないか。デジタル庁創設に止まらず、縦割り行政の弊害除去を看板に据えた菅政権。官僚扱いを熟知している菅総理のリーダーシップの発揮のしどころではないだろうか。