【Q&A】国家公務員、何をしたら「接待」?
総務省幹部らが、菅義偉(よしひで)首相の長男が勤務する放送事業会社「東北新社」やNTTから接待を受けていたことが明るみに出て、複数の幹部らが処分されました。国家公務員と(1)許認可などの申請対象者(2)補助金交付の申請対象者(3)立入検査、監査、監察の対象者(4)所管する業界で事業を営む企業――など「利害関係者」との関係性の在り方については、2000年に施行された国家公務員倫理法に記されていますが、具体的に、どのような会食が「接待」に当たるのでしょうか。東京双葉法律事務所の富田大樹弁護士に聞きました。
Q:国家公務員倫理法はなぜ作られたの?
国家公務員倫理法は、国家公務員の職務の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り、国民の信頼を確保することを目的とするものです。 1990年代後半、かつての大蔵省、厚生省、通産省などの幹部公務員が飲食、贈り物、旅行、ゴルフなど事業者から過剰接待を受けていたことが問題となりました。当初は、省庁ごとに倫理規程を定めて対応していましたが、省庁の自浄作用には期待できない、との声が高まり、倫理法が制定され、2000年4月1日に同法及び国家公務員倫理規程が施行されました。
Q:何が「接待」に当たるの?
倫理規程は、一般職の国家公務員が利害関係者から「供応接待」を受けることを原則禁止しています。この場合の供応接待には、食事や酒を振舞う会食だけでなく、温泉旅行やゴルフ、映画・演劇の鑑賞に招待することなども含まれます。 供応接待を受けることで、国家公務員の公正な職務の執行に対する国民の疑念や不信を招く恐れがある以上、たとえ利害に関する話題が出なかったとしても、「供応接待」に該当するのです。
Q:利害関係者との会食はすべて「接待」?
会食の場合、利害関係者との会食すべてが「接待」として禁止されるわけではありません。 国家公務員が自らの飲食費を負担する「割り勘」の場合、利害関係者との会食も認められています。ただ、自分の飲食費が1万円を超える場合には、原則として倫理監督官に届け出る必要があります。 多数の者が出席する立食パーティーなどについても、国民から疑念や不信を持たれる恐れが乏しいことから、利害関係者から飲食物の提供を受けることが認められています。 他方、ゴルフや旅行については、過去に過剰接待の舞台となった多数の事例があり、その不祥事の実態に照らして、国家公務員が利害関係者と共にゴルフや旅行をすることは、その費用を自己負担したとしても禁止されています。