【Q&A】大臣が「接待」を受けるとどうなるの?
武田良太総務相、野田聖子・高市早苗両元総務相が、通信行政を所管する現職の総務相の立場でNTT幹部と会食をしていたことがニュースになっています。大臣が職務上関係する民間企業幹部らと会食する際、どのような場合に「接待」になるのでしょうか。また、そのことによって処罰の対象になるのでしょうか。東京双葉法律事務所の富田大樹弁護士に聞きました。
Q:大臣が民間企業から接待を受けた場合、法的にはどう扱われるの?
国家公務員が所管する関連企業(利害関係者)から「接待」を受けた場合は国家公務員倫理法及び国家公務員倫理規程に則って処分されます。 一方、国務大臣については、2001年1月6日に閣議決定された「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」(以下「規範」)に服務規律などが定められています。
Q:規範の内容は? 罰則規定はあるの?
規範では、関係業者との接触などについて、「接待を受けること、職務に関連して贈物や便宜供与を受けることなど国民の疑惑を招くような行為をしてはならない」と定められています。 しかし、規範に違反した場合の罰則は規定されていません。
Q:どんな場合に「国民の疑惑を招く」ことになるの?
規範は、「関係業者」から「供応接待を受けること」など「国民の疑惑を招くような行為」について明確な基準を定めていません。よって、状況・態様などから個別に検討するほかありません。 国家公務員の場合には、国家公務員倫理規程によって、公務に対する国民の信頼を確保するために、利害関係者から「供応接待」を受けることを原則禁止しています。国民の疑念や不信を招く恐れがある以上、たとえ利害に関する話題が出なかったとしても「供応接待」に該当します。一方で、国家公務員が自らの飲食費を負担する場合(「割り勘」)や大人数での立食パーティーなどは公務に対する疑念や不信を持たれる恐れが乏しいことから認められており、利害関係者との会食が全て禁止されているわけではありません。 この国家公務員倫理規程を踏まえ、規範の「関係業者」、「供応接待」も同様に解釈すれば、関係業者との会食でも割り勘や、多数の人が出席する立食パーティーの場合には、「国民の疑惑を招く」ものではないと判断される可能性があります。