「金融市場調節方針は現状維持」日銀・黒田総裁会見1月18日(全文1)
経済活動の拡大で人手不足が顕著に
特に、需給ギャップが間もなく解消し、プラスになっていくという見通しでありますし、また、経済活動の拡大によって人手不足がかなり顕著になっておりまして、春闘、その他、賃金の上昇がもたらされようとしておりますので、そういった意味で、単に輸入物価が上がったと、コストプッシュ要因だけではなくて、需要要因もあって物価を押し上げる効果が出てきているとは思うんですけども、一方で輸入物価による押し上げ効果っていうのが非常に大きくなっていて、それが順次、減衰していくと。 他方で需要の強さ、人手不足の拡大といったことを通じて、賃金・物価が緩やかに上昇していくっていう、両面が交差していますので、今回の見通しにあるような形で、2023年度は生鮮食品を除く消費者物価の上昇率が1.6%程度に低下するわけですけども、2024年は1.8%程度に上昇率が高まっていくという見通しになっております。
YCCは持続可能なものなのか
記者:読売新聞の山内と申します。私もYCCについてご質問があります。昨年12月に運用を見直した際、YCCを起点とする金融緩和の持続性を高めるというご説明があったと思います。前回の政策修正から効果見極めにはまだ時間がかかるということだとは思うんですが、イールドカーブのゆがみがなかなか解消する見通しというのも、現状ではまだ見通しにくいと思います。加えて、日銀の国債保有割合が5割を超える中、足元で異例の購入ペースでさらに膨らんでいる中で、YCCの持続性を疑う見方というのも増えてきた現状があると思います。総裁、YCCの持続性について、持続可能なものなのかどうか、お考えを教えていただけますでしょうか。 黒田:先ほど申し上げたとおり、緩和的な金融環境を維持しつつ、市場機能の改善を図る観点から、イールドカーブ・コントロールの運用の一部見直しを決定したわけであります。これも先ほど申し上げたように、国債買い入れ額の大幅な増加、各年限において買い入れ額のさらなる増額や、指し値オペを機動的に実施する。あるいは、今回の会合では共通担保オペの拡充も行いました。運用の見直しからさほど時間がたっておりませんので、こうしたゆがみの是正とか、市場機能の改善っていうことがまだはっきりする事態にはなっておりませんけれども、これも先ほど申し上げたように、機動的な市場調節運営を行うことで、今後、市場機能は改善していくというふうに考えております。そういった意味で、YCCは十分存続、持続可能であるというふうに考えております。 また、それが改善するまでどのくらいかかるかというようなことも議論になるわけですけれども、先ほど来、申し上げたように、12月にこういった見直しをしたばかりでありまして、長らく0.25%、プラスマイナス0.25%の変動幅ということでイールドカーブ・コントロールの運営を行ってきたことを踏まえますと、新たな運営方針の下での市場の金利形成が定着していくには相応の時間を要するのではないかというふうに考えております。しかし、機動的な市場調節運営によりまして、十分市場の機能度は高まっていくと、YCCの持続可能性は十分担保されるというふうに考えております。