「金融市場調節方針は現状維持」日銀・黒田総裁会見1月18日(全文1)
賃上げできる環境を整えることが重要
こうした経済・物価情勢を踏まえますと、現在は経済をしっかりと支え、企業が賃上げができる環境を整えることが重要でありまして、日本銀行としては金融緩和を継続し、賃金の上昇を伴う形での物価安定の目標の持続的・安定的な実現を目指していく考えであります。 2番目のご質問につきましては、日本銀行は10年物国債金利について0.5%の利回りでの指値オペを毎営業日、実施しておりまして、経済合理性の観点からは、0.5%を超える利回りでの取引が継続的に行われることはないと考えられます。日本銀行としましては、金融市場調節方針と整合的なイールドカーブが実現するよう、今回拡充した共通担保資金供給オペも活用しながら、機動的な市場調節運営を行っていく方針でありまして、長期金利の変動幅をさらに拡大する必要があるとは考えておりません。 記者:ありがとうございます。では各社さん、お願いします。
ゆがみは今後、どの程度の期間で解消するのか
記者:時事通信の【井町 00:12:50】と申します。イールドカーブ・コントロールについてお伺いします。前回、長期金利の変動幅を拡大した目的が国債市場の機能改善だったわけですけども、ゆがみはまだ残っているにしても、機能改善、ある程度したのかどうかについての総裁の評価をお伺いしたいのと、今日、共通担保オペの拡充をされていますけれども、ゆがみ自体、今後、どの程度の期間をかけて解消されていくとお考えでしょうか。これが1点目です。 2点目は、物価見通しの上方修正に関しまして、輸入物価の上昇を起点としてということですけれども、需要要因ですね、需要による物価の押し上げ要因というのはどの程度あるのか、ないのか、この点についてもお考えをお聞かせください。 黒田:まず、日本銀行は前回の金融政策決定会合におきまして、緩和的な金融環境を維持しつつ市場機能の改善を図る観点から、イールドカーブ・コントロールの運用の一部見直しを決定いたしました。すなわち、長期金利の変動幅の拡大と同時に、国債買い入れ額の大幅な増加や、必要に応じて各年限において買い入れ額のさらなる増額や、指値オペを機動的に実施することなどを決定しました。加えて、今回の会合では共通担保オペの拡充も行いました。運用の見直しからさほど時間がたっておりませんので、これらの措置が市場機能に及ぼす影響を評価するには、なお時間を要すると思いますが、機動的な市場調節運営を続けることで、今後、市場機能は改善していくというふうにみております。 物価の状況につきましては先ほど申し上げたとおりでありまして、実体経済面ではエネルギーなどの価格高騰に伴う家計・企業の負担を軽減するという総合経済対策の効果がある一方で、総合経済対策では経済を押し上げる効果も期待されております。いずれにいたしましても、こういった政策の効果ということもありますし、先ほど来、申し上げているとおり、2022年度、2023年度、2024年度と、3年連続して、わが国経済の潜在成長率を上回る成長が続いていくということでありますので、当然、需要面から賃金・物価を押し上げるという効果も徐々に働いていくというふうに考えております。