祝・単行本化! 『生きのびるための事務』とは何なのか。/坂口恭平さんにインタビュー。
坂口恭平さんの人気マンガ連載『生きのびるための事務』が単行本になった。もともと坂口さんがnoteに投稿していた記事を道草晴子さんがマンガ化し、全11講にわたりPOPEYE Webで連載されてきた人気作だ。物語は、夢を叶えたいけれど、お金もないしやり方もわからない、そんな21歳の坂口さんのもとに、優秀な事務員・ジムという不思議な存在が現れるところから始まる。彼のアドバイスに沿って動き出すと、次第に坂口さんの人生が動き出す。『生きのびるための事務』は世界初のスーパー事務アドベンチャーマンガなのだ。世間一般の“事務”とは一線を画す、坂口さんが考えるあたらしい“事務”とは何なのか。刊行にともない、坂口さんにお話を聞いた。 坂口恭平 新刊『生きのびるための事務』
――2021年6月から「生きのびるための事務」というタイトルでnoteに記事を投稿されていましたよね。きっかけは何だったんですか?
なんだろうね。まあ事務については書こうとしてたんだと思うんですよね。なんでそのタイミングで書こうと思ったかはわからないけど、2020年くらいから、自分のやってきた事務が固まりだした感触があったのかな。合同会社から株式会社になったタイミングというのもあったかも。
――その後POPEYE Webでマンガ連載になって。毎回おもしろく読んでいたのですが、世間一般が抱く事務のイメージと全然違う印象がありました。
違う?
――はい、全然。事務というと、確定申告とか請求書を発行するとか、そういう手続き的なものを想像してしまうんですけど、ここで描かれてるのは全く別の“事務”でした。
でもマンガの中の話はほぼ全部事実です。一冊目の本を作ったときの話が元になっていて。バイリンガルにしたかったけど出版社では5万円くらいしか用意できないっていうから、弟が通ってた青山学院大学に行って、学生にお願いしたっていう。青学に行けば、絶対に翻訳家になりたい人がいるなと思って、探したらすぐ見つかったの。