シシド・カフカさんも登場…東京パラ五輪閉会式を世界はどう評価したのか…「記憶に残るもの」「色鮮やかで活力に満ちた」
東京パラリンピックの閉会式が5日、東京の新国立競技場で行われ、史上最多となる4403人が参加して13日間に渡って繰り広げられた大会が幕を下ろした。閉会式のショーディレクターは、俳優でイベントプロデューサーである小橋賢児さんが担当。「ハーモニアス・カコフォニー(すべての違いが輝く街)」がコンセプトで、オープニングのパフォーマンスでは、様々な障害を抱えた男女のパフォーマーたちが個性豊かな音楽やダンスで躍動した。 話題になることが少なかった東京五輪・パラリンピックのマスコット「ミライトワ」と「ソメイティ」も“やっと”登場した。 東京の高層ビルなどを模した巨大オブジェで東京の街並みを「ダイバーシティ」として表現。代表旗手による入場行進では、タリバンの支配で混乱するアフガニスタンから参加した2選手が登場。各国の選手、ボランティアは入場行進時に「自らを映し東京の街に輝きを与えてくれる」というメッセージを込めた小さな鏡を「スカイツリー」のオブジェに貼り付けた。 ハイライトは、その「スカイツリー」をみんなで協力して引っ張って立たせるシーン。人気バンド「ゴダイゴ」が1979年にリリースして大ヒットした「ビューティフル・ネーム」が流れ、ネット上の昭和世代を歓喜させた。2度倒れたスカイツリーは3度目に見事に立ち上がり、障害や、人種、性別などの垣根を取り払い、手と手を取り合って共生すべき多様性のある社会を表した。 また後半の音楽をメインにしたショーでは、個性あるジェスチャーで楽団を統率する指揮者役として、歌手で女優としても活躍するシシド・カフカさんが登場。NHKの放送では、なぜか人物紹介がされなかったが、ネット上では話題に。閉会の挨拶では、開会式でも日本語を交えた熱血スピーチで評判になった国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドリュー・パーソンズ会長が、再び「ありがとう、東京」と絶叫。欠けたリ割れた器などを漆で修復し金で彩る日本の伝統工芸文化である「金継ぎ」を共生社会をあらわす言葉として使い、日本人の琴線に響く内容で、長いと不評で退場する選手が続出した国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長の五輪閉会式でのスピーチとの“違い”を再びみせつけた。 続けて初めてのパラリンピック開催となる3年後のパリ大会へと引き継ぐ式典では、小池百合子・都知事が「イッセイ・ミヤケ」の艶やかなドレスで登場したことや、パリ大会の紹介では、CGを使いパリの象徴であるエッフェル塔を支える脚のひとつが、陸上競技などで使われる義足に変わる映像が流されたことも注目された。 フィナーレで使われた曲はルイ・アームストロングの名曲「この素晴らしき世界(What a Wonderful World)」。神経系の障害で指の一部が動かなくなった“7本指のピアニスト”西川悟平さんの演奏で始まり、アームストロングを彷彿させる渋いダミ声で、車いすの奥野敦士さんが歌い始めた。奥野さんは1980年代後半に「終わりのない歌」などがヒットし一世を風靡した人気ロックバンド「ROGUE」のボーカル。 仕事中の怪我で胸から下が麻痺するという障害を負った。歌は大会を振り返る映像と共にリレーされ、最後に聖火が消え、近未来的な聖火台が静かに閉じられた。