「カネにうるさいこと言ってないなら…」田中将大の巨人入りを実現させた名伯楽・久保コーチの存在 阿部監督は菅野復活導いた大恩人に相談
楽天から自由契約となっていた田中将大投手(36)が25日、巨人と契約を結び、東京都内のホテルで入団会見を行った。当初は全く補強の対象とみていなかった球団側に、阿部慎之助監督(45)は獲得を強く働きかけるにあたって、ベテラン右腕復活のキーマンとなる名伯楽に相談していた。 (片岡将) 【写真】マー君の試合を観戦する妻・里田まい ■「できると信じる」 11月24日に自身のユーチューブチャンネルで楽天退団を電撃発表してから1カ月。正式契約を締結した田中将は、ストライプが入った紺色のスーツに身を包み会見に出席した。「自分としてはやはりやりがいを感じたいというところで、自由契約になっておりましたけど、そんな中ジャイアンツの方からお声がけをいただいて、だいぶうれしかった」。退団の決め手ともなった「やりがい」を、この日も口にした。 会見に同席した阿部監督からは「なんかいろいろ、うだうだ言われてますけど、できるって信じてあげるしかこちらはできませんし、2ケタ勝って、ジャイアンツのユニホームを着て一緒に日本一になることしか僕は考えてません」とハッパ。田中将も呼吸ピッタリに、「僕もうだうだ、いろいろ言われてるのは知っているので、本当に自分で証明するしかない」と応じて笑わせた。 2013年の楽天唯一の日本一に貢献したレジェンドは、20年オフに米大リーグ・ヤンキースから古巣復帰も、18年目の今季は0勝1敗と初めて勝てず、通算197勝で足踏み。決別した楽天を除く国内11球団に移籍OKの姿勢を打ち出すも、その大部分がピークを過ぎて戦力にならないと冷徹に判断するなか、復活の目があるのか阿部監督がお伺いを立てたのが、久保康生巡回投手コーチ(66)だったという。 「久保さんは『(田中が)カネにうるさいこと言ってないなら、いいんじゃないか』とゴーサインを出したそうです。再生させられる見込みがあるということでしょう」(球界関係者) 久保コーチが面倒を見てくれるなら俄然、悲願の200勝への希望が広がる。その凄腕は近鉄で大塚晶文、岩隈久志、パウエルの飛躍を支え、阪神では伸び悩んでいた能見篤史、メッセンジャーらを的確なフォーム改良で大黒柱に成長させた。そして原前監督の招きで22年オフに巨人に移ると、昨季4勝8敗と低迷した菅野智之投手(35)のフォームを1年がかりで修正。今季の最多勝、最高勝率、MVPへと導いた。 表彰式で菅野は「久保コーチとの出会いが大きかった。久保さんがいなかったら自分はここにいない」と感謝。二人三脚の日々を、名伯楽も「最初は話を聞いているようで、腑に落ちていなかった。あれだけの実績がある投手だからね。こっちから押し付けず、粘り強く話を聞いていくしかないのよ」と振り返る。
田中将も菅野と同じ復活ロードを歩めるか。