就活でよく聞く「オヤカク」って何? 企業の内定辞退対策とは
「保護者の反対」で内定辞退
企業から内定者の保護者への説明が手厚くなってきたのはなぜでしょうか。 人事コンサルタントの曽和利光さんは、「大きな理由はただひとつ。保護者との相談による内定辞退が多いからです 」と話します。 曽和さんによると、人事の業界で言われている「内定承諾率」(内定者のうち内定を承諾した人の割合)は平均約50%で、平均値でも2人に1人が内定を辞退していることになります。そのなかには内定承諾率が100%に近い人気企業も含まれているため、中小企業などでは内定者のうち3人に1人、または4人に1人しか入社しないケースも少なくありません。 「私が知る限りでは、内定辞退をする人の多くが理由として挙げるのが、親からの反対やアドバイスです。そのため、経費がかかる新卒採用を効率よく進めるために、企業は内定者の保護者に熱心にアプローチするようになってきました。今や『オヤカク』を確実に取り付けることが、採用側にとっての重要な業務の一つになっています」(曽和さん) 今の大学生の親は、チャレンジ精神旺盛な人が多い世代ながら、我が子のことになると保守的になる特徴もあります。「聞いたこともない企業より、メガバンクや公務員などのほうが安心」などとアドバイスし、結果的に子どもが内定辞退をするケースが後を絶たないといいます。
人気企業に親子でギャップ
保護者が行ってほしい企業と、子どもが行きたい企業のギャップは確かにありそうです。 例えば、マイナビが保護者1000人に聞いた「子供に働いてほしい企業ランキング」(有効回答数511)に並ぶ企業は、「トヨタ自動車」「伊藤忠商事」など、歴史と安定感のある有名企業が目立ちます。 「子供に働いてほしい企業」を1社だけ自由記述した結果(表=「マイナビ 2023年度 就職活動に対する保護者の意識調査」から) 大学3年生と大学院1年生約4万人に聞いた「大学生就職企業人気ランキング」(2025年卒版)とは、調査対象人数に大きな開きはあるものの、2つの調査結果を見比べると、文系大学生で2年連続1位となった「ニトリ」などの製造小売業は保護者のランキングには出てこない ほか、理系大学生で4位の「Sky」など、保護者世代にはなじみのないソフトウェア会社もランクインしています。