「静かにして!」と言っても効果なし…「発達障害・グレーゾーンの人」がスッと静かになる「伝え方」のコツ
---------- 悪気なく物音を立てて家族の安眠を妨げる、そんな「あの人」があなたのまわりにもいるかもしれません。もし何度「静かに」と訴えても改善されないなら、この記事で野波ツナさん(漫画家)が教える伝え方を使ってみてください。【前編】20万部超えの人気シリーズ著者がこっそり教えます! 専門家に教わった「発達障害・グレーゾーンの人」の行動がサクッと変わる「言い方」のコツに引き続き、新刊『発達障害・グレーゾーンの あの人の行動がかわる言い方・接し方事典』からお届けします。 ---------- 【漫画】「しすぎたらバカになるぞ…」母の再婚相手から性的虐待を受けた女性が絶句
家庭でよくある「騒音」をめぐるエピソード
記事の前半では、職場の30分休憩の時間に掃除を始めて同僚の仮眠を妨げ、顰蹙を買っていたA君のエピソードを紹介しました。 A君のようなクセが強い人を、私は(発達障害またはグレーゾーンかもしれない、気になる)あの人の略称として「あの人」と新刊で呼んでいますが、そんな「あの人」が悪気なく立てる「音」が問題になる場面は、きっと家庭でもあるはずです。 たとえば「あの人」=ネコが帰宅すると、下のマンガのような問題が起こることがあります。 子どもは眠りを破られてしまいました。だからパートナーであるヒツジが「静かにお願い」と伝えるのですが、改善されません。こんなときはどうすればいいでしょうか。
「想像できない」または「基準が違う」という原因にアプローチ
「静かに!」と要望されてもそうできない「あの人」が騒がしくする原因は、いろいろ考えられます。他の人がどう感じているか、そして何を欲しているかを想像するのが苦手、という特性が関係しているかもしれません。 また、「基準」が違っている可能性もあります。「あの人」にとっては十分静かだけど、周囲の人には、まだ「うるさい!」という具合に、感じ方の違いが原因になっていることもあるでしょう。 記事前編で紹介したA君は、職場のリーダーである私の友人に注意された後は「ゆっくりと」掃除をするようになりました。きっとA君にとっては、それで十分「静か」だったのでしょう。ところが仮眠をとろうとしている人にとっては、それでもまた「うるさい」状態でした。そんなふうに、同じ大きさの音でも〈うるさい/うるさくない〉の判断は人によって異なるのです。 「あの人」と周囲の間に起こりがちな、この「すれ違い」に折り合いをつける方法としては、滝口のぞみ先生が教えてくださったように、「◎◎して」と「してほしい行動」を肯定文で具体的に伝える方法があります。 「これなら絶対に静かになる」という行動を伝えて実行してもらうのです。たとえば朝起きるのが早く、何かと物音を立てて家族の眠りを妨げてしまう「あの人」には、 「朝7時までは寝てて。眠れないならリビングで小さい音で動画を見てて」 と、音が出にくい行動に代えるように冷静に伝えます。