【NBA】マーベリックスで入団会見を行ったクレイ・トンプソン「勝つためにプレーする。それだけでいいんだ」
「環境の変化は時に人をより偉大にしてくれる」
クレイ・トンプソンは同じく新加入のナジ・マーシャルとクエンティン・グライムズとともにマーベリックスでの入団会見を行った。NBAキャリア14年目にして初めてウォリアーズ以外のユニフォームに袖を通す彼は「バスケをプレーするにせよ企業で働くにせよ、環境の変化は時に人をより偉大にしてくれる」と語った。 「プレーオフでマブスがNBA優勝に向かって躍進する姿を見ていると、このチームに僕はとても自然に溶け込めると感じた。みんなバスケを楽しみ、お互いのためにプレーしている。それが僕にとってはとても魅力的だった。ウォリアーズには感謝しているけど、今こうして前に進むことで新たなエネルギーを得て、残りのキャリアでも特別な何かができると感じている」 ウォリアーズとの別れについて「最初は失望したけど、時間を経てじっくり考える中で、自分が何を成し遂げたかを理解できた」と言う。「記録は破られるためにある。だけど獲得したタイトルが奪われることはないし、コミュニティに与えた影響は永遠に生き続ける。そして時には、正しい選択肢が決別ということもある。NBAでそれを経験するのは僕が初めてではないよね。僕はポートランド育ちで、スコッティ・ピッペンのブレイザーズ加入を人生最大のインパクトぐらいに記憶している。僕は過去のいろんな選手から刺激を受けている。新たなチームに移って成功を収めた選手もそうでない選手もいたけど、僕はここで気持ちを新たにし、まだまだ良いバスケをするつもりでいるよ」 「ここで新たなスタートを切るんだ。再び自分が必要とされていると感じている」。そう語るクレイは会見の間ずっと上機嫌で、饒舌に質問に答えていった。 新しい背番号は『31』。これまでのクレイを象徴する『11』は、マブスではカイリー・アービングのものだ。「カイリーが僕の番号を取ってしまったから……いや、冗談だよ」と彼は笑う。「それも僕にとっては変化だ。変化にはイライラではなくワクワクするよ」 今回の移籍に際して、クレイは金銭を求めて戦ったわけではなかった。『王朝』が傾いて立て直すのに必死のウォリアーズは、ケガでパフォーマンスを落としたクレイにかつてのような評価を与えず、ステフィン・カリーはともかくドレイモンド・グリーンよりも低い契約しか提示しなかった。クレイ側からの契約案は拒否され、折衷案が出るわけでもなかった。フリーエージェント市場の開始を待たず、クレイはウォリアーズに再契約の意図がないと悟った。 カネのためにプレーするなら、レイカーズの4年8000万ドル(約120億円)のオファーを取っていたはずだ。レブロン・ジェームズはクレイ獲得のサラリーを捻出するために自分の契約を削るつもりだった。一方でマブスのオファーは3年5000万ドル(約75億円)でしかない。その開きは大きいにもかかわらず、かつてクレイは「お金なら十分に稼いだ。それが一番大事なわけじゃない」と語った言葉通りに行動した。 プレーするためのモチベーションを、クレイはこう説明する。「マブスは僕に愛情を示してくれた。ファンはネット上でも街で出会っても僕が来たことに感謝してくれる。みんなマブスが優勝争いをすることに興奮し、困難を乗り越えて優勝を勝ち取ってほしいと願っている。そこに貢献できるのは僕にとって魅力的なことだ。30代になったキャリア後半に、優勝争いの機会を得られる選手は多くない。それは特別なことであり、アスリートとして望むのはまさにこれなんだ」 「すごく期待されている分、プレッシャーも感じる。でも僕は勝ちたい。それはゴールデンステートで学んだことだ。最高のレベルで競い合い、勝つには誰もが犠牲を払う必要がある。僕はマブスのために犠牲を払う。勝つためにプレーする。それだけでいいんだ。この会見の後にやる練習が楽しみだよ。昨シーズンはこれまでのようにバスケを楽しめなかった。新しいスタートは良いものだ」