「意外と知らない」「なるほどわかる」水冷エンジンと空冷エンジンって何が違うの⁉︎ バイクの基本をおさえちゃおう!
バイクという乗り物の大きな魅力のひとつが多種多様な構成のエンジンです。みなさんもエンジンが気になって調べたことがあるんじゃないでしょうか。そこでよく出てくるのが「空冷」や「水冷」というワードです。これらはエンジンの冷やし方のタイプを表した言葉なんです。今回はエンジンの冷やし方、二大巨頭の違いを紐解いて行こう! →【画像】150-250cc軽二輪スクーター 国内メーカーおすすめ7選
エンジンは熱との闘い
エンジンは空気とガソリンを混ぜた混合気を燃焼室で燃やすことで動力を取りだしています。当然、内部でガソリンが燃えているんだから、エンジン全体がだんだん熱くなってきますよね。あまりにも高温になるとオーバーヒートでエンジンが停止、最悪の場合はピストンやシリンダーが溶けて、くっついたり変形したりする、焼き付きという症状になってしまうこともあります。熱すぎるとエンジンだって壊れちゃいます。 そんなことにならないように、エンジンが動いている間は、常にエンジンを冷やす機構が働いているんです。その冷やし方に、違いがあるってことなんだね。
コスパよく、ゆるさが魅力の空冷エンジン
空冷は、空気でエンジン全体を冷やす方式です。エンジンがむき出しになっているバイクでは、走ることによってエンジンに風を当てて、冷やすことができるわけなんです。 冷却効率を上げるために、シリンダーやシリンダーヘッドには、「フィン」と呼ばれる薄い金属の板が備えつけられています。これは金属でできたエンジンの表面積を増やすことで、空気に触れる部分を増やし、放熱効果を高めるための機能部品なんです。この冷却フィンはデザインとしても美しいので、空冷エンジンに人気がある一因となっています。 空冷エンジンは走行風で冷やすという性質上、バイクが停車したら、どんどん熱がこもるというデメリットもあります。信号待ちでアイドリングしている時間が長いだけでも、エンジンの温度は上がってしまうというわけ。つまりエンジンの、とくにシリンダー付近の温度を一定に保つことが難しいんです。 そのままじゃ熱膨張でピストンとシリンダーがどんどん近づいていって、オーバーヒートまっしぐら。そこで対策として、熱による金属の膨張を見込んで、1番熱にさらされるピストンとシリンダーの間には少しの隙間、いわゆるクリアランスが設けられています。 そのため、エンジンが暖まって、このクリアランスが適正値になるまでは、性能が発揮しにくくなっています。始動直後に振動が大きかったり、回転上昇がぎこちなかったりするのも、このため。スロットルの操作に対して、じんわり加速していくという、空冷エンジン搭載車のゆるいフィーリングも、クリアランスの大きさが影響しているんです。 また、クリアランスが大きい分、本来排気されるはずの燃え終わった燃焼ガスや、燃え切っていない混合気の未燃焼ガス、エンジンオイルなどの、いわゆるブローバイガスがクランクケース内に漏れ出しやすくなっています。 ブローバイガスは、ブローバイホースを通じてエアクリーナーへ戻され、再び吸気されるため、ブローバイガスの分だけ、新しく吸気できる新鮮な混合気の割合が減少。空冷がパワーを発揮しにくいのは、ここにも理由があります。 デメリットも多いけれど、構造がシンプルな分、軽くてコストも抑えられるし、穏やかなフィーリングで扱いやすいのが空冷エンジンのいいところ。メンテナンスも容易なので、小排気量車や、実用車でよく採用されています。