39歳のレジェンド星大二郎、全日本選手権17年ぶりV逃す 「やってきたかいがありました」と涙 清水聡、井岡一翔も注目
ボクシングの全日本選手権最終日は1日、東京・墨田区のひがしんアリーナで男女各階級の決勝が行われた。男子ライトミドル級は全日本選手権3連覇の実績がある星大二郎(39)=和歌山県庁=が、2022年大会同級優勝の田中廉人(25)=自衛隊=に0-5の判定負け。2007年大会以来、17年ぶりの優勝は逃した。 レジェンドの星は東農大時代にライト級を3連覇した2007年大会以来、17年ぶりの決勝で奮闘したが、及ばなかった。それでも観客からは大きな拍手が送られた。 「ここで勝てたらかっこよかったのに。楽しかったですね。ここまできたらもう上出来です」 1回の序盤は田中の勢いに押されたが、中盤に左ストレートを当てると、プレスをかけて反撃に出た。それでも体格とハンドスピードで上回る田中の攻撃でポイントを奪われた。ラウンドインターバルでは笑顔を見せ、2回には打ち合いで引かずに直立不動となって会場を沸かす場面も。最終3回は田中が接近戦から右ボディーアッパーをヒットした。 アマチュア戦績は200戦を超え、180勝以上を誇る。12年ロンドン五輪ミドル級金メダルで、元WBA世界同級スーパー王者の村田諒太氏(38)、12年ロンドン五輪バンタム級銅メダルで、元東洋太平洋、WBOアジア・パシフィック・フェザー級統一王者の清水聡(38)=大橋=らと同学年だ。 この日は清水が応援に駆け付けた。東農大の後輩で、元世界4階級制覇王者の井岡一翔(35)=志成=にも声をかけたが、予定があって現地観戦はかなわなかった。ただ、井岡はLINEで「先輩の生き様を見ておくので、僕の生き様も見届けてください」とメッセージを送り、配信での視聴を約束したという。 井岡は大みそかに東京・大田区総合体育館で、初防衛を目指す王者のフェルナンド・マルティネス(33)=アルゼンチン=とダイレクトリマッチを闘う。星は「勝ってバトンを渡したかった」とも話した。星と東農大の同期で、井岡を指導する佐々木修平トレーナー(29)は会場で応援。星の思いは大一番を迎える〝チーム井岡〟にも確実に届いている。 試合後には「『アマチュアボクシングを続けたい』って言ってくれる子が増えた。僕がやってきたかいがありましたね。何かを与えることができてるんやな」と涙を見せる場面も。田中には「良い選手やし、世界の壁をぶち破ってほしいなと思います」とエールを送り、「僕なんかより、勝者をインタビューしたってほしいなと思うし、それがアマチュアボクシングのためなんで」と報道陣にお願いした。