【極真会館】松井館長が日本の選手たちの技術的問題点を指摘する「廻し蹴りをやった時にほとんどの選手が軸足を返さない」
2024年11月30日(土)と12月1日(日)に東京体育館で開催された国際空手道連盟 極真会館主催『第56回オープントーナメント全日本空手道選手権大会』。大会終了後、松井章奎館長が総括を行った。 【写真】今大会ではあまり見られなかった上段廻し蹴り その中で松井館長は、日本選手たちのある問題点をあげた。それは空手の代表的な技のひとつでもある「廻し蹴り」についてだ。 「これは今の日本の選手たちほとんどに言えることですが、組手のスタイルがそうさせているのかもしれませんが廻し蹴りをやった時にほとんどの選手が軸足を返さないんですよね。軸になっている足の踵が返っていない。その場面場面でいろいろな蹴り方があるからそういう蹴り方があってもいいんですが、廻し蹴りをキチっとやった時に身体全体がひとつになった時に軸足が返らずに蹴っている足が返るってことはどこかにひずみが生まれて、どこかでそれを吸収してしまっているということです」と、全身の力を使って蹴ることが出来なくなっているという。 「そういう基本的な見直しをするべきだと思うんですよね。例えばミットを10回蹴る時に、その10回を0から100まで振り切ることを日常的にしていないのではないか。そうするとスタミナも付くべきところが付かない、力も付かない、柔軟性も付かない。それでも選手はそれを自覚なく一生懸命にやるから、悪い形で何度も反復するから人間は反復することは必ず身についてしまうので、組手の中でも中途半端な蹴りをポンポンと出すようになってしまう。 基本稽古やサンドバッグやミットの稽古の中でかなり力もスタミナも柔軟性も付きます。今の選手たちは身体が硬い人も多い。子供の時から空手をやっているのになぜ身体が硬いかと言ったら、全身をおおらかに使わない動作を繰り返しているからでしょう。身体が柔らかいうちから稽古をやっているのに。今の選手たちこそ、接近しても上を蹴れるようにした方がいい。可動域に従って間合いも調整しやすくなりますし、可動域を全部使えないのと使わないのとは違いますから。使える身体は作っておいた方がいい」と、上段廻し蹴りを使いこなせていないとした。 「最小限でなんとなくやっているのを子供の頃から繰り返しているから、身体が動かなくなる。それはよくない。ひとつひとつの動作を確認してきっちりやれば大きく変わります。大きく動ける人が最小限に動くのと、それしか出来ない人では全然違います」と、子供の頃から正しい身体の使い方で蹴ることを身に着けないといけないとする。 軸足を返さないのは、転倒しにくくするためではないかとの質問には「関係ないでしょうね。基本的な動きの中で軸足を返していないということであって、返さない場面の時は返さなくてもいいんですよ。相手が間近にいる時は返すことが全てではない。でも身体全体を使って稽古していないと、返さない時に例えば足首や膝や股関節など全身を使うような動作で小さな動きをすることも出来ないですね。だから足先だけでパチンと蹴るような蹴りになっている。それはよくないと思う。それが出来るように、自分の身体を機能的にさせるためには、最初の出発点としては大きく使うことなんです。 ひとつひとつの動作をきちんとやるのが大事。それは精神的にも肉体的にもしんどいからみんな避けるんですよね。でも人がやらないことをやれば、人が出来ないことが出来たら一種の有利性を持つことになります。周りの人が出来ないから自分もやらなくていいというように、今は集団の稽古が多いから安心してしまうのではないですか。それはよくないと思いますね」と、稽古のやり方にも言及。 「ベスト8の差なんてほんの少し。紙一重の差を埋めていくのはそんなところだと私は思っています。本当に勝ちたいなら、今やっている稽古をさらに掘り下げてきめ細かくやっただけでも変わると思います」と、選手たちに警鐘を鳴らした。
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