インド株という挑戦とワクチンという福音 尾身会長「もうしばらく」
1~2か月でインド株に置き換わる
変異株について、脅威の対象は英国株からインド株に移りつつある。厚生労働省の専門家組織である「アドバイザリーボード」の26日のレポートによると、スクリーニング検査で英国株は全国で8割を占め、従来株からほぼ置き換わったと推定されるという。その結果、感染力が強いとされる英国株への置き換わりによって「新規感染数の減少に以前よりも長い期間を要している」と指摘する。インド株は英国株よりさらに感染力が強いとされるが、海外渡航歴のない感染事例も国内で確認されている。 会見では、記者からどれくらいの期間でインド株に置き換わるかの見通しを問われた。尾身会長は「だいたい1か月とか1か月半、2か月で置き変わる可能性」があると語ったが、その時期は「うまくいくと高齢者のワクチンの接種が終わる頃」だと述べ、インド株に置き換わった頃には政府が目指す7月末での高齢者へのワクチン接種が完了している可能性があると期待を示した。 ワクチン接種が進んだ先の新型コロナウイルスについても語った。「このウイルスはそう簡単にはゼロにはならない。おそらく年が明けても完全になくなるというよりも、だんだんと2回目の接種で少しずつ普通の病気というか『パンデミック』でなく『エンデミック』になる可能性がある」 世界的流行を意味するパンデミックに対し、エンデミックはある地域に継続的に疾病が発生している状態を指す。 続けて尾身会長はこう語った。「いま我々はインド株という新たな挑戦を受けているが、新たな福音もある。このワクチンはいいワクチンですよ」 インド株は脅威ではあるが、それに立ち向かえるだけの有効なワクチンだとの認識を示した。
若い人もコロナ禍で苦しんできたはず
尾身会長はワクチン接種を加速させるには「弾力的にいろんな接種のチャネルを増やすことが非常に重要で若い人たちもなるべく早く打つことが求められている」と強調した。例えば大規模接種会場には若い世代にたくさん行ってもらうことも提案した。 「これだけみんなで苦しんできて、若い人も苦しんできたはず。酒も飲めなかったし、パーティーもできなかった。だから路上飲みなんてせざるを得ない」 接種が進んで高齢者にワクチンが行き渡ると重症化する患者が減ると見通す。尾身会長は「もうしばらく」だと訴える。 「ここをみんなでもうひと踏ん張りすると、重症化の人が減ってくると多少感染があっても医療の負担が(減ってくる)」 そして高齢者のワクチン接種が終わるまでリバウンド(感染再拡大)を抑えて乗り越えることの重要さと意味を説いた。 「そんなに長くかからないで、トンネルの先はもう見えているということ。(そのことを)みんなで分かっているということが大事」