尾身氏「空気感染は起きていない」 現時点での専門家の“見立て”
政府コロナ分科会の尾身茂会長は21日、記者会見で、変異ウイルスによる感染拡大について「新しいデータが出てくれば訂正する必要があるが、こんな風に考えるといまのことが説明できるのではないのか」と前置きしたうえで、感染者が呼気から出すウイルスの排出量が多くなっており「いままでよりも感染しやすくなっていることはほぼ間違いないと思う」と語った。一方で、空気感染については「ちょっとすれ違って感染する、そういうことが私は起きていないと思う。それが起きているなら、いまこんな感染の状況では絶対にない」と語った。
尾身氏は、感染しやすいかどうかは「ウイルスの量に依存する」とも述べた。どういうことか。 会見で、尾身氏はたとえ症状がなくても、感染者の呼気からは「大きな声を出さなくても(ウイルスが)出て行く」と説明。さらに変異ウイルスは従来のウイルスに比べて感染後に体内で増殖しやすく、「同じレベルの声でしゃべっても呼気から出るウイルスが多い。そうすると前は移っていなかったのが移っている」と分析した。 また、アクリル板が設置され、比較的換気が良い場所にも関わらず、感染した事例があったことを紹介。呼気に含まれるウイルス量が1回では少ないとしても「長くいればだんだん蓄積する。短時間では感染しないけど、長くいるとウイルスの量に依存する(ことによって感染しやすくなる)というふうに考えたら、感染したときの個々人のウイルスの排出量が前よりも多くなっている(のではないか)というのがわれわれの見立てだ」と話した。 そして、「ウイルス量が前より多いんだということがこの問題の多分いまの段階での本質。それを考えるとやはり長い時間同じところにいるとか、換気が悪いとか(は避けた方がいい)」と主張。換気をすることが感染予防対策として一層大事になるとの考えも示した。 空気感染に関しては「起きていれば、東京が上げ止まりなんてことは絶対ない。それは起きていない」と改めて否定。「ただ、これからインド株が入ってきてどうなるか分からないのでともかく水際を含めて(対策を強化する必要がある)。変異と言うのは感染が拡大、増殖、(ウイルスが)増えようとする。ともかくワクチンが(高齢者に)行くまでここで抑える(ことが必要だ)」と語った。