「9月以降にクルードラゴンで宇宙ステーションへ」若田宇宙飛行士が会見7月21日(全文1)
今回のフライト、ISS滞在はどのような意味を持つのか
井上:フリーランスの井上です。以前、若田さん、著書にISSは平和な世界を築く価値観の象徴っていうふうに書かれていたのを拝見しました。2月からロシアによるウクライナ侵攻が続いていて世界の分断が進んだりだとか、宇宙開発にも影響が出てきているところだと思うんですけども、今回のフライトと、そして今回のISSの滞在がどのような意味を持つと考えていらっしゃるか教えてください。お願いします。 若田:国際宇宙ステーションというのは平和目的のために世界の15カ国が協力してミッションを進めてきてると。これは1984年にレーガン大統領が国際宇宙ステーション計画を提唱したときからまったく変わっていないと思いますし、現在、地政学的な、さまざまな問題がある中でも、世界各国の国際宇宙ステーション関係者はきちんと協力をして、日々の運用を確実につなげているという状況です。 ですから現時点で、例えばつくばにも「きぼう」の管制局があります。ヒューストンにも管制局がありますけども、世界各国の管制局が協力してミッションを進めているということで、現時点で、現状が国際宇宙ステーションの運用に大きな影響を与えてるっていうことはないというふうに思いますし、私たち宇宙飛行士たちが有人宇宙活動の現場でできることは、世界各国の宇宙飛行士たちとチームワークをきちんと取ってISSの利用成果を最大化できるように日々努力するということだと思いますので、この取り組みの考え方っていうのは、これまでとまったく変わらないと思います。 井上:ありがとうございます。 司会:ありがとうございます。それでは次のご質問を受け付けますが。どうぞ。ちょっとマイクが入ってないかもしれないですね。すみません。 共同通信:聞こえますでしょうか。 若田:はい。
ベテランとしてISSでどんな役割を果たしたいか
共同通信:共同通信の【ナラ 00:14:35】といいます。すいません。若田さん、日本人としては最多の飛行回数になるかと思います。世界的に見てもかなりベテランの域に入っているのかなと思うんですけれども、ISSの中でどのような役割を果たしたいのかというのを聞かせてください。 若田:ありがとうございます。これまで私たち、私も先輩にいろんなことを教えていただきながら、世界各国の宇宙飛行士の先輩から教えていただきながらミッションを過ごさせてもらいました。アメリカ、ロシアには、6回、7回という飛行経験がある方、800日以上、宇宙に滞在するような方もいらっしゃいますので、やはり世界の宇宙飛行士たちの活躍に目を向けたときに、自分も一歩一歩そういったところに近づいていきたいなという気持ちは持っています。 今回、例えばCrew-5というSpaceX社のドラゴン宇宙船で宇宙に行くときにも、私以外はルーキーの方が3人ですので、やはりそれぞれが優れたパイロットであったり技術者であったりするわけですけれども宇宙飛行の経験がないということで、私が宇宙に行く前にさまざまな観点で、経験に基づいてアドバイスをさせていただいてることはたくさんありますので、これは宇宙飛行前も、それから宇宙においても、宇宙飛行を経験させていただいた者として、できるだけ彼らをサポートしていきたいなというふうに思っています。それがやはり次の世代につながっていくんじゃないかなというふうに思っています。 共同通信:ありがとうございます。 若田:ありがとうございます。 司会:ありがとうございます。それでは寺西さん、どうぞ。