サヘル・ローズ、「自分を愛していい」「幸せになっていい」。自分を愛せず苦しんできた私が今、伝えたいこと
12月4日~12月10日は人権週間です。戦時下のイランに生まれ、孤児院で育ったサヘル・ローズさん。7歳のとき、養母フローラさんと共に来日。しかし想像を絶する貧困やいじめ、ときに人としての尊厳、人権を傷つけられるような出来事が次々と彼女を襲いました。そして今、サヘルさんは、これまでの経験や内に秘めてきた思いを『これから大人になるアナタに伝えたい10のこと 自分を愛し、困難を乗りこえる力』(童心社)で明らかにしました。彼女自身の心の叫びともいえるさまざまな出来事は、読むすべての人の心を揺さぶります。 【画像】長い年月を共に生きてきた養母のフローラさんと。 前編では、サヘルさんが今、本を書こうと思った理由、読者に伝えたかったことを中心に話を聞きました。
心の奥底にため込んできた幼少期の記憶を明らかに。同じ経験をした人と一対一の関係を築きたい
――どうして今、『これから大人になるアナタに伝えたい10のこと 自分を愛し、困難を乗りこえる力』(童心社)を書こうと思ったのでしょうか? サヘル・ローズさん(以下敬称略、サヘル) この2年で見聞きしたさまざまなこと。たとえば、内面的にさまざまな問題を抱えている人だったり、テレビなどのニュースで流れる世界情勢だったり、アフリカに旅したときに感じたことだったり…。今、伝えなければ埋もれてしまうのではないかと考えたからです。 私のこれまでの人生には、経験しなくてもよかったのではないかと思えるような出来事もあれば、経験せざるを得ない状況もありました。とくに幼少期の経験はずっと心に閉じ込めてきましたが、やっぱり苦しくて。それを解消するためにも、私の「内」にため込んできた記憶を、一度外に出す必要があると思いました。 日本という国で長く生活してきたなかで起きた多くのことを、これまで私は自分1人で抱え、自分のせいにしてきました。だから、もし私と同じような経験をしてきた人がいるなら、この本を読んで「自分1人じゃない」ことに気づいてほしい、本の中で私と読者が一対一の関係を築けたらいいなと考えました。
【関連記事】
- ▶続きを読む【後編】【サヘル・ローズ】子育ては不安と葛藤の連続。悩んだときに吐き出せる場所を作ってほしい
- ▶サヘル・ローズ「戦争、病気、震災。ある日突然、家族が引き離されてしまうことも。だからこそ、子どもを抱きしめ、愛を伝えて」
- ▶サヘル・ローズにインタビュー 血のつながりはなくても愛にあふれる親子のカタチ「生まれ変わったらわたしのおなかから出てき…
- ▶声優・金田朋子。流産を乗り越えて、44歳で長女を出産。私の武器はただ一つ。「できるママ」をあきらめても唯一娘に誇れるもの
- ▶言葉をまったく話さない息子。「ママのことどう思う?」という問いに、「SUKI」とローマ字で感情をつづった忘れられない瞬間【重度自閉症体験談】