海外メディアはバッハ会長の来日延期と最新世論調査を結びつけ悲観的に報道「五輪への準備に新たなる逆境とつまずき」
東京五輪・パラリンピック組織委員会は10日、17日に広島で行われる聖火リレーに合わせて来日を予定していた国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長の来日を延期することを発表した。緊急事態宣言の延期を受けて同委員会の橋本聖子会長が「来日は難しい」との意向を示していた。緊急事態宣言明けの6月に来日が再調整される予定だが、海外メディアは、バッハ会長の来日延期を世論調査の反対やテニスの大坂なおみの主張などと結び付けてネガティブに報じた。 5日付けのコラムでIOCのバッハ会長を「ぼったくり男爵」と痛烈に批判するなどして「東京五輪中止」論戦の先陣を切っているワシントンポスト紙は「IOCのバッハ会長が新型コロナ感染者が急増する中で日本訪問を延期」との見出しを取り、バッハ会長が当初、広島の聖火リレーに合わせて来日予定だったことと、東京、大阪など主要都市に出されていた緊急事態宣言も11日に解除予定だったことを説明。バッハ会長が訪問延期の発表声明の中で「なるべく早く訪問する」とコメントしたことを伝えた。記事は「このパンデミックで2020年五輪大会は1年間延期され、組織委員会は日本の人々が熱狂を失ってしまっている中でも開催すると決定している」と皮肉を交えて紹介。 また読売新聞が発表した世論調査の「中止支持者」59%を引用する形で、「最近の世論調査では、60%から80%の人々が大会の中止か延期を支持していることを示している。開催中止を求めるオンライン嘆願は3日間で30万以上の署名を集めた」と報じた。 記事は、また「テニスのスター選手、セリーナ・ウィリアムズと大坂なおみはそれぞれ違う理由で五輪についてためらいを示した」とも伝えた。 イタリア国際に出場する大坂とウィリアムズは会見で、開催反対の声が高まっている東京五輪についての意見を聞かれて、それぞれの考えを主張していた。 同紙は、大坂の「私はアスリートで、人生の間、待ち望んでいたものでもあるから、もちろん五輪は開催されてほしい。だけど、特にこの1年は重大なことがたくさん起きていると思う」というコメントを紹介。 さらに「ウィリアムズの(五輪出場に対する)躊躇は、米国を含めた152カ国からの人々に対して国境を閉じている日本の決定に関係する。(参加アスリート以外の)入国は『特別な例外的事情がなければ』認められないだろう。ウィリアムズは『もし3歳の娘オリンピアが入国を認められなければ五輪に参加しないかもしれない』とほのめかした。グランドスラム大会の日程も要因の一つにある」と続け、トップアスリートから懸念の声が起きていることにフォーカスした。